兵庫県明石市の住宅街からほど近い歩道に全く同じ「黒橋下」と書かれた3つの標識が掲げられています。

いったいなぜこんなことが?

背景にあったのは、「老朽化によって“読めなくなってしまった標識”を交換したいけれど、高コスト」という問題でした。

できるだけ、コストを抑えようと、従来型とより安価なもので経年劣化を比較する「実験」が行われていたのでした。

■縦に並んだ全く同じ道路標識が3つ 近隣住人も「なんか変やなと」

【記者リポート】「見てください!3つ標識があるんですけど、全部同じ文字が書いてありますね…」

設置されていたのは、「黒橋下(くろはしした)」、「黒橋下」、そして「黒橋下」。

同じ標識が3つ!一体、なぜなんでしょうか。

【近隣住人】「いやあ、わからないです(笑)なんか変やなとは思ってましたけど」

【近隣住人】「違和感があります…いやあ、ちょっとわからないですね」

近くに住む人も不思議に感じる謎に包まれた標識。

実は、「newsランナー」が1年ほど前から追いかけていた、ある問題が背景にありました。

■20年前の国体時に整備された標識が「老朽化で読めない」問題

【記者リポート】「目の前の交差点見てください。”白…なんとか橋南”と書いていますが、よく見ると手前側も“ベロベロ”に剥がれて反対側も真っ白で文字読めません」

世界遺産・姫路城のある姫路市のあちらこちらでみられる“読めない標識”。

兵庫県では、2006年に開催された「のじぎく兵庫国体」の際に道路標識を一新しましたが、それから20年が絶ち、一気に老朽化が進んでいるというのです。

去年取材した場所は、今、どうなっているのでしょうか。

■すぐに直せない標識 背景に「1枚20数万円」の高コスト

きれいな標識に変わっているところもある一方で、今も、読めない状態の標識もありました。

【記者リポート】「歌野橋の文字がほぼ見えなくなってしまっていますね。そしてこっちの標識に至っては、真っ白になってしまっていて、何と書いてあるか読めません」

通行者に現在地を知らせ、文字通り「道しるべ」となるはずの大事な情報が見えず、行政には苦情の声も寄せられています。

それでも、すぐに新しくするのが難しいのにはワケが…

【兵庫県・姫路土木事務所 隅豊課長(去年5月)】「1枚20数万円。十字交差点だと4枚あるので、100万円近いお金になり、全てを一気にというのは難しい」

そこで登場したのが、あの奇妙な標識だというのです。

企画した兵庫県東播磨県民局の幾田正一郎課長に話を聞くと…

【東播磨県民局 幾田正一郎課長】「費用面であったり、メンテナンスというところが非常に課題だと思っています。状況を改善しようという取り組みの一環として、こういう実験をやってるということです」

3つの標識は実験用の標識だったのです。

一番上は、兵庫県が公式に使用する従来の標識。「広角プリズム型」と呼ばれ、1平方メートル当たり14万円です。

上から2つ目は、「カプセルプリズム型」というもので、耐久性が「広角プリズム型」よりも劣るものの、価格は6割程度に抑えられる反射材を使用した標識です。

そして、一番下は2つ目の標識に市販の紫外線保護塗料を塗った標識。

3つの標識が同じ環境の下で、どのような変化を遂げるのか、つまり経年劣化に対する「コストパフォーマンス」を比較する独自の実験をしているのです。

■標識の「間引き」でコストダウン 年間の維持費を「約170万円」削減

取り組みは、ほかにもあります。

【東播磨県民局 幾田正一郎課長】「正面の電柱の信号についていた、南に向いていた看板を撤去しました」

すでに標識のある大きな道路と狭い生活道路の交差点などで、不要と思われる標識を撤去。
明石管内で、3割ほどの標識を「間引き」することで、年間の維持費はおよそ170万円削減できたということです。

【東播磨県民局 幾田正一郎課長】「厳しい財政状況にあるからこそ、こういう工夫であったり、柔軟な発想を取り入れながら、持続可能なインフラメンテナンスというものを実現していきたいなと」

限られた予算の中、自治体が地域を巻き込んで行うユニークな対策。結果が分かるのは、およそ10年後です。

(関西テレビ「newsランナー」2026年2月23日放送)

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