先週末、大阪・ミナミで3人が刺され1人が死亡、1人が重体となった凄惨な事件。

事件の背景には何があるのか。関西テレビ「newsランナー」の独自取材で見えてきた”グリ下”に起きている異変に迫ります。

■道頓堀で起きた凄惨な事件 3人が刺され1人が死亡、1人が重体

2月14日深夜、大阪・ミナミの道頓堀で、17歳の男性3人が刃物で相次いで刺された事件が発生しました。

「こちら事件現場なのですが、警察が鑑識作業を進めていて、血痕もまだ見られます」

奈良県の会社員、鎌田隆之亮さん(17)が死亡。もう1人が意識不明の重体、さらに1人が重傷となりました。殺人の疑いで逮捕されたのは、岩崎龍我容疑者(21)。警察の調べに対し、殺意を否認しているということです。

■「凶器所持してるなあって」「見せびらかしてたり」

「newsランナー」が入手した映像には、逮捕直前の岩崎容疑者とみられる人物が捉えられていました。

画面奥から歩いてくる男。手に持っていた何かを捨てた後、手袋のようなものを付ける仕草が見られます。警察によると犯行の時、「岩崎容疑者は手袋をつけていた」ということで、新しいものに取り換えたのでしょうか。

解剖の結果、鎌田さんの死因は刃物が心臓を貫通したことによる心停止で、刃先は肝臓にも達していたということです。また、首にも複数の刺し傷などがあり、警察は強い殺意があったとみて調べています。

捜査関係者によると岩崎容疑者は、被害者と事件の直前、”ある場所”で会っていたことが分かっています。その場所というのが…”グリ下”です。

■ミナミのグリコの看板下、通称”グリ下”とは

およそ5年前から、若者などが集まるようになったミナミのグリコの看板の下、通称”グリ下”。

しかしここ数年は、薬を過剰摂取するオーバードーズが蔓延し、自傷行為やパパ活なども横行していました。

【少女(当時14歳)】「みんなでパキった(ハイになる)方が楽しいです。宇宙見えるっす」

こういった現状が問題となる一方で、家庭環境の悩みや孤独を抱える若者が集まり支えあう、”居場所”となってきた側面もあった”グリ下”。

一体、岩崎容疑者は”グリ下”でどのような存在だったのか。

■これまでの”グリ下”に集まる若者と違う性質

取材班は、容疑者を知る複数の人物に話を聞くことができました。

【岩崎容疑者を知る人】「グリ下を結構仕切ってる人がいて、その人の現場の部下みたいな感じで、聞いた事あります」

普段から刃物とか持っていたのか聞かれると、「そうですね。見せびらかしてたりとかはしてる印象があります」と答えました。

【岩崎容疑者を知る人】「肩がぶつかったみたいで、(容疑者が)『何当たってきてんねん』といちゃもんつけたりとかはありました。つかみかかる、胸ぐらつかむとか、そのタイミングで僕たちも止めたので…」

これまで”グリ下”に集まっていた若者とは違った性質を思わせる岩崎容疑者の存在。

現場では今、何が起きているのか取材班はミナミへ向かいました。

【記者リポート】「こちらグリ下と呼ばれる場所ですが、外国人の観光客は通っていますが、少年や少女の姿はみられません」

事件があった影響なのか、いつも若者たちがいる場所にその姿はありませんでした。

■「来ない方がいい。来る場所じゃない」とグリ下に出入りする男性

取材を続けていると数年前からグリ下に来ているという男性がインタビューに応じました。男性が明かしたのは最近起きている”ある変化”について。

【“グリ下”に出入りする男性】「事件があったように、悪い人たちが(グリ下に)入ってきたりしています。キャッチ・半グレ系で、警棒とかナイフとか銃刀法違反になるようなものを持っていたりする。そういう人たちが、僕が来た2年前より多くなった」

これまでとは違い、組織性を背景にした暴力や犯罪が身近になった印象があると語る男性。

【“グリ下”に出入りする男性】「強盗してお金を稼いだりとか、二十歳だったら消費者金融に連れて行ったりとか。半グレ系は上下関係がはっきりしてるが、”グリ下”の中では上下関係はなかったので、敬語を使わなかっただけで、そうなったり(脅されたり)するのでややこしい」

■トラブルを脅しや暴力で解決する”詰め事”

「newsランナー」が取材で手に入れた映像があります。

提供者によると、グリ下に出入りしているというグループが映っていて、トラブルを脅しや暴力で解決する”詰め事”の様子がとらえられているということです。

こういった事案が頻発する現状。

自身も家庭環境に悩み、「”居場所”を求めてここにやってきた」という男性は、今のグリ下について、こう話します。

【“グリ下”に出入りする男性】「居心地は悪いです。来ない方がいい、来る場所じゃない」

■「グリ下で稼げる」が周知され ”グリ下”に変化

なぜグリ下は変化したのか。グリ下に数年間出入りし、その実態に詳しいAさんはこう指摘します。

【“グリ下”の実態に詳しいAさん】「売春の斡旋(あっせん)や薬物を提供したりだとか、安く雇える子たちがたくさんいるって、『グリ下で稼げるっていうこと』が周知されるようになったからじゃないか」

凄惨な事件の背景を取材すると見えてきたグリ下の現状。孤独を抱える若者の居場所は今、大きく形を変え始めています。

(関西テレビ「newsランナー」2026年2月18日放送)

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