北朝鮮の金正恩総書記の横でほほ笑む人物は、金正恩総書記の娘、“ジュエ氏”。

先週、韓国の情報機関は、金正恩総書記の後継者として“ジュエ氏”が、「内定段階に入った」とする分析を明らかに。

注目される“13歳の少女ジュエ氏”はどのような人物なのか。半年前まで北朝鮮に暮らしていた脱北者などへの独自取材でその謎に迫ります。

■留学先のロンドンで拉致された有本恵子さん 「何とか、助け出してあげたい」家族は奪還への強い思い

神戸市に住む有本郁子さん。去年、96歳で亡くなった父の明弘さんは15日、命日を迎えました。

【有本恵子さんの妹・郁子さん】「力の限り拉致の問題では動いたと思いますけどね。力及ばずで、本当に残念やったなと思います」

1983年、明弘さんの三女・恵子さんは留学先のロンドンで北朝鮮に拉致されました。

2002年、日朝首脳会談で初めて拉致を認めた北朝鮮。しかし、帰国できたのは5人のみで、恵子さんを含む多くの人が今なお、帰国を果たせていません。

恵子さんの姉・尚子さんと妹の郁子さんは奪還への強い思いを今も抱いています。

【有本恵子さんの妹・郁子さん】「私たちは何不自由ない。寒かったら暖房もつけられる。病気になったら病院に行けるし。でも恵子だけは…考えたらつらい」

【有本恵子さんの姉・尚子さん】「何とか、助け出してあげたいなと思う。どうしようもない国かなと。トップをすげ替えないと何ともならない国かなと」

■「命がけで頑張りますので」横田めぐみさんの母・早紀江さんは唯一の親世代に

拉致被害者の家族会は16日、高市総理と面会。唯一の親世代となった横田めぐみさんの母・早紀江さんも出席しました。

【横田早紀江さん】「命がけで頑張りますので、救出のためにお力くださいますようお願いいたします」

【高市早苗総理】「やれる限りのあらゆる手段を尽くして、私の代で何としても突破口を開いて具体的な成果に結びつけていきたい」

■“ジュエ氏”が「後継内定」の段階に入ったとする分析

一方、拉致問題は「解決済み」との認識を崩さない北朝鮮。

今月12日、韓国の情報機関「国家情報院」は、“ジュエ氏”が「後継内定」の段階に入ったとする分析を明らかにしました。

金正恩総書記と李雪主(リ・ソルジュ)夫人の間で写真の中央に写る少女。“ジュエ”氏とされる娘です。

北朝鮮の情勢に詳しい李相哲教授によると「謎が多い」人物だといいます。

【龍谷大学 李相哲教授】「年齢は13歳という風にみられていますけども、これは公式発表ではない。名前はどんな漢字を使うのかということさえも、わかっていない」

“ジュエ氏”が初めて姿を見せたのは2022年11月。金総書記と手をつなぐなど仲睦まじい様子が公開されました。

■北朝鮮で元日に放送された映像には金総書記と娘の“ジュエ氏”との親密な様子が

北朝鮮で元日に放送された最近の映像では、新年を祝う金総書記と娘の“ジュエ氏”との親密な様子が映し出されました。

【金正恩総書記】「朝鮮民主主義人民共和国、万歳!」

李相哲教授は父と娘の関係性をこう推測します。

【龍谷大学 李相哲教授】「外に出てまでこんなことをしている(ジュエ氏を)溺愛していますね。もう娘を見る時はもうずっと微笑んでいる、大好きなんでしょうね」

■公の場でも娘への愛情を隠さず表現する金総書記 亡命した幹部の証言によると『彼女は私の栄養剤』とも

金正恩総書記の溺愛ぶりはこんな場面にも…ミサイルの発射は通常、軍人がカウントダウンをするといいますが…

【龍谷大学 李相哲教授】「彼女が発射のタイミングを計っていたんじゃないかと。国家的な行事なのに娘にタイマーを計るようにさせた。娘がかわいくてしょうがなくてわがままをさせる」

さらに李教授は“ジュエ氏”が金正恩総書記より一歩先を歩いている写真を示し、次のように分析しました。

【龍谷大学 李相哲教授】「この写真も娘が一歩前に出ている。これもあり得ない。政治的には。

亡命した幹部の証言によると、金正恩総書記はかなり親ばかで『私は彼女がいるから疲れを知らない』『彼女は私の栄養剤』だと言ったと」

■「金正恩の娘、息子の世代が北朝鮮の権力を引き継ぐんだとのメッセージは明確」李相哲教授

公の場でも娘への愛情を隠さず表現する金総書記。

しかし、「後継者については別問題」と李教授は指摘します。

朝鮮労働党にも入れない年齢の“ジュエ氏”が内定するのは時期尚早で、その修業を受けている段階とみるのが妥当だと話します。

【龍谷大学 李相哲教授】「金正恩総書記が42歳ですので、まだ若いですよね。その間、心変わりすることもあり得るし、“ジュエ氏”が成人するまでどのような人間になるのか不確定要素が多すぎる。

ただ金正恩の娘、息子の世代が北朝鮮の権力を引き継ぐんだとのメッセージは明確。その中の有力候補の1人が“ジュエ氏”だと見るのが正しいと思います」

■半年前に脱北した人物に接触 “ジュエ氏”の後継者内定「議論する価値がない」

北朝鮮に住む人は“ジュエ氏”をどう見ているのでしょうか。取材班は、半年前に脱北した人物に独自に接触しました。去年7月まで平壌に住んでいたヤン・イルチョルさん(31)です。

(Q:“ジュエ氏”ことは知っている?)
【ヤン・イルチョルさん】「テレビに出てくるじゃないですか『愛するお子さま』『尊敬するお子さま』」

(Q:“ジュエ氏”はどんな人物?)
【ヤン・イルチョルさん】「かわいいね。かわいいというイメージがあります。北朝鮮では、誰しもがかわいいと感じたと思います」

“ジュエ氏”の後継者内定について聞くと…

【ヤン・イルチョルさん】「いくら北朝鮮の人たちが愚かで金一族の世襲を受け入れても、“ジュエ氏”が後継者だというのは、10年後、20年後になるか、ならないかの話。今はそんなこと議論する価値がないとみんな思っている」

現地を知る人物でさえ、全く現実的ではないと話しました。一方、金正恩総書記の気持ち次第で事態は変わると話します。

【ヤン・イルチョルさん】「北朝鮮では金正恩総書記が望めば、不可能なことはない。何でもできる」

■拉致問題は解決するのか「日本が変わるように仕掛ける必要」

脱北者の言葉から見える金正恩総書記が持つ大きな力。仮に“ジュエ氏”がそれを継承した場合どうなるのでしょうか。

【龍谷大学 李相哲教授】「金正恩総書記が将軍たちを叱ったり、首斬ったりそういう場面しか彼女は見ていない。金正恩総書記より、もっと怖い人間になる可能性だってあるんじゃないでしょうか」

(Q:拉致問題は良い方向に進むのか?)
【龍谷大学 李相哲教授】「“ジュエ氏”が後継者で拉致問題が変わることはない。彼らは変わらない。だから日本が変わるように、仕掛ける必要がある」

(関西テレビ「newsランナー」 2026年2月17日放送)

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