TSKとJALのコラボ企画。今回は、JALふるさとアンバサダーの藤田エミさんが、島根・雲南市でユニークな本屋さん『本屋の中にある本屋』を発見。
絵本をきっかけに世代を超えた交流を生み地域住民の絆を強めたい、そんな思いでお店を始めた男性を取材しました。
雲南市のJR木次駅近くの古くからの商店街の一角にある岩佐書店。
創業約100年、地域に根付く「町の本屋」です。
出迎えてくれたのは石原達也さん。
実はこの店の主ではありません。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
「遠足文庫」とあるんですが、どのような意味がありますか?
遠足文庫・石原達也さん:
ここの本棚だけ僕が借りて、絵本専門の本屋さんにさせてもらってます。
書店の中にひと棚だけ「間借り」した「遠足文庫」、まさに『本屋の中の小さな本屋』です。2025年11月にオープンしました。
棚の管理や仕入れは石原さんが責任を持ち、売り上げの15%を「家賃」として岩佐書店に支払います。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
ぐりとぐらは子どもの頃によく読んでいました。
遠足文庫・石原達也さん:
子どもに読み聞かせをしてあげたいような本だけを選んで、長く読まれている本だけを扱っています。
コンセプトは「あなたが絵本をめくった『あの頃』が、この子の『今』になる」。
棚には、親子のための絵本が40冊ほど並びます。
どれも誰もが一度は手にしたことのある作品、親世代には“懐かしく”、子どもたちには“新しい”。そんな絵本を揃えました。
「遠足文庫」を開いたきっかけは、4歳の娘に「読み聞かせ」をしようと絵本を探したこと。
より良い子育て環境を求めて、2024年に妻のふるさとである雲南市木次町に移住しましたが、書店の品揃えは十分でなく、ぴったりの絵本になかなか出合えませんでした。
そこで、『それなら本屋を自分で作ってしまおう』とこの小さな本屋を開きました。
同じように、欲しい絵本に出会えないという親子にも利用してもらえるよう、仕入れのリクエストも受け付けます。目指したのは「参加型」の本屋です。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
今、本はインターネットでも購入できますよね。
遠足文庫・石原達也さん:
本というのは、紙の手触りも違うし、触覚と視覚と匂いも含めて記憶に残る。それに出会える本屋さんは貴重な場所だと思いますし、新しい本との出合いもあるのもいいんじゃないかと思って。
実際に本と出合い、じっくり選ぶことができ、そこで親子同士が交流できる…そんなリアルな場を雲南市に作りたいと、石原さんは考えました。
そして…。
遠足文庫・石原達也さん:
商店街の本屋さんと何か一緒にしたい、商店街自体がいろんな発見があったり、おもしろくなっていくようなことに、自分なりに貢献できればと思った。
岩佐書店がある商店街にはかつてのにぎわいはなく、空き店舗が目立ちます。
移住前、岡山県で地域活性化のサポートに携っていた石原さん、この小さな本屋を寂しくなった商店街に人の流れと活気を取り戻す仕掛けにできないかと考えています。
岩佐書店・岩佐由紀夫さん:
商店街はそれでなくても“閑古鳥”が鳴いている状態で、少しでも町の活性化のために提案していきたいというのは、素晴らしいこと。
「大家」の岩佐さんも挑戦を後押しします。
石原さんのユニークな発想は、書店の中にとどまりません。
書店と同じ通り沿いにある古い松の木…建物の屋根を貫くように幹を伸ばすのは、樹齢約450年の「浪花の大松」。町のシンボルとして親しまれています。
遠足文庫・石原達也さん:
こんなのなかなか無い、珍しい場所だなと思いました。せっかくだったらこの松を生かして何かできないかと。
この大松の下で今後、月1回のイベントやカフェバーを開き、さまざまな世代の地域の人が集まる交流の場にしたいと考えています。
JALふるさとアンバサダー・藤田エミさん:
石原さんは、木次の町をどのようにしていきたいですか?
遠足文庫・石原達也さん:
みんなで楽しんでいく事ができる町になったらいいなと。(そういう町が)みんながずっと暮らしていきたいと思うような場所になるので、そうした町づくりが出来たらいいなと思っている。
「よそもの」だからこそ気づいた地域の絆。
石原さんは、新しい形の書店を足掛かりに、この地域にゆっくり“根を張る”つもりです。