「ドナルド! いい加減にしろ」 いくら何でもトランプを甘やかしすぎではないか

カテゴリ:ワールド

  • サミットでトランプ上機嫌の理由
  • G7はなぜみっともないのか
  • 「ドナルド!いい加減にしろ!」

上機嫌だったトランプ大統領

サミットが行われたフランスの保養地ビアリッツで、米国のトランプ大統領は終始機嫌良さそうだった。理由は去年のサミットより居心地がよかったからだ。

去年トランプは貿易問題とロシアの処遇を巡って、欧州各国とりわけドイツのメルケル首相と激しく対立した。日本の安倍首相の説得でいったん首脳宣言に合意したものの、議長国カナダのトルドー首相の米国批判に腹を立てて、一転、宣言の承認を拒否した。

去年のサミットでトランプ大統領に詰め寄るメルケル首相(メルケル首相の公式インスタグラムより)

皆にいじめられたトランプは今年「なぜ行かないといけないのか」と出席を渋っていた。このため去年の失敗を繰り返してはならない、と議長国フランスのマクロン大統領が取った作戦は、トランプを怒らせないことだった。

今年のサミットではトランプ大統領もニッコリ

今、世界最大の懸案はなんと言っても米中の関税合戦だ。G7の場でトランプがたとえ1対6で各国から批判されることになっても、彼はこの問題をきちんと説明する義務があったのに、まともに話し合った形跡はない。各国首脳は米国批判を封印し、トランプをハレモノのように扱った。

まともな首脳宣言も出せなかったのに、マクロンはトランプと並んで会見し、「我々の議論によって前向きなメッセージを生むことができた」と成果を誇った。ウソつくな!関税合戦のカの字も、保護貿易のホの字も書いてないじゃないか。

トランプにガツンと言えるのは安倍さんだけ

G7はなぜこんなみっともないことになっているのか。もちろんトランプは悪い。だがそれ以上に他の6カ国がだらしないのだ。

まずドイツのメルケルはレームダックになって急速に力が衰えた。英国はEU離脱でそれどころではない。イタリアは国内政治が混乱し、カナダは去年失敗した。マクロンもまだ若い。つまりトランプを「こら!いい加減にしろ」と叱ることができるだけの力があるのは日本の安倍首相だけなのだ。

でも安倍さんは積極的にトランプを説得しなかったし、日米の貿易交渉でも名を捨て実を取るやり方で巧妙に対決を避けた。

44年続くG7サミットは歴史的に英国のサッチャー、ドイツのシュミット、フランスのミッテランら欧州の傑出した政治家たちが米国の暴走を許さず世界の秩序を維持してきた。それが今、崩壊しつつある。

欧州がそれどころでない以上、安倍さん、トランプにガツンと言ってやれるリーダーはあなただけです。トランプとの仲が悪くなるのではないかって?大丈夫、トランプには安倍さん以外友達はいない。その時は怒ってもすぐに「シンゾーごめん」と帰ってくるからご心配なく。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

「平井文夫の言わねばならぬ」すべての記事を読む
「平井文夫の還暦人生デザイン」すべての記事を読む
「平井文夫の永田町4コマ劇場」すべての記事を読む

平井文夫の言わねばならぬの他の記事