AGAは放置すると進行

 
 
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何となくセンチメンタルな気分になりがちな秋は、抜け毛が増える季節でもあります。薄毛に悩む男性には、余計に切ないですね…。
男性型脱毛症=AGAは、成人男性に見られる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。
全国で1260万人、男性の5人に1人がAGAを発症しているとされますが、現在では約3人に1人が薄毛の進行を感じていると言われています。
特に若い年齢でAGAになってしまうと、非常に深刻な悩みになる場合が少なくありません。
しかも、AGAは確実に進行する脱毛疾患です。何もせずに放っておくと、髪の毛の数は減り続け、徐々に薄くなっていきます。
では、なぜAGAになる男性とならない男性に分かれるのか。
それを探るために、まずはAGAの仕組みをご説明しましょう。

“男性らしさ”ホルモンが20歳代から減少

こう丸の精巣で作られている「テストステロン」という男性ホルモンがあります。
性欲増強、性器の形成、筋肉質な身体の形成、声変わり、ヒゲや陰毛の生成など、男らしくあるために必要なホルモンと言えます。毛髪を太くする作用もあり、直接の薄毛の原因ではありません。
しかし、この男らしさの象徴であるホルモンは、20歳代をピークに、加齢と共に減少していきます。
そうなると男性らしさが失われてしまうのでは…?!
そこで「5αリダクターゼ」という酵素が活躍します。

もう1つの“男性らしさ”ホルモンが「悪さ」を

 
 

同じように、男らしさに影響を与える男性ホルモンに、「ジヒドロテストステロン(DHT)」があります。
しかも、そのパワーは「テストステロン」の何倍もあると言われているんです。
そして、酵素「5αリダクターゼ」は、「テストステロン」から「DHT」を生成する働きがあるのです。
加齢による「テストステロン」減少を補うために、「5αリダクターゼ」がせっせと働いて「DHT」を生成します。
これで年齢を重ねても男性らしさを維持出来ます…が、良いことばかりではありません。
「DHT」は、髪の毛に作用した場合のみ、厄介な反応が起きるのです。
実は、AGAの最も大きな原因とされているのが「DHT」なのです。
「DHT」が、髪の毛母細胞にある受容体に結合すると、毛母細胞は頭髪の成長が終了してしまったものと誤った判断をして、頭髪への栄養分の補給をストップしてしまうのです。
ヘアサイクルの周期を乱され、栄養不足に陥った頭髪はそのまま抜け落ちていき、薄毛が徐々に進行して行きます。
皮肉にも、男性らしさを補うために作られた「DHT」が、薄毛の直接的な原因にもなっってしまうのです。

「母方の祖父」がキーポイント

「テストステロン」や「DHT」というホルモンは、男性なら誰でも持っています。
そこで最初の疑問、AGAになる人とならない人がいるのはなぜなんでしょうか?
AGAになるかどうかの分かれ目は、「DHT」の影響を受けやすい毛母細胞の受容体を持っているかどうかなんです。
つまり、受容体の感度が高ければ「DHT」の影響を受けやすいためAGAになり、逆に感度が低ければAGAが進行しにくいという訳です。
この違いを生む要因のひとつが遺伝と言われています。
遺伝というと、ついつい自分の父親の頭髪の状態が気になるもの。
しかし遺伝をチェックする際には「母方の祖父」の髪の毛の状態をチェックすることも大切です。
と言うのも、先述した受容体の感度はどこから遺伝するのかと言えば、実は「母方の祖父」のXY遺伝子であり、祖父が薄毛になっているようなら要注意と言えるのです。
そのほか、遺伝以外にも様々な要因が重なってAGAになりやすいかどうかが決まります。

気になり始めたら、早目の治療の検討も

抜け毛が多くなり、特にミニチュア毛とも言える短い抜け毛が目立っている時には、AGAの危険性があると言われています。また、髪のコシとハリが感じられないようになっている時には、AGAが発症した可能性が高いと言えます。
AGAは強力に脱毛を促進する疾患ですので、気になりはじめてから短期間で薄毛になる可能性があります。
現在では有効な治療法が確立されていますので、早目にAGA外来の受診を検討されるのも選択肢の1つになります。


(執筆:Watanabe Chiharu)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。