大阪と奈良とを結ぶ「旧生駒トンネル」。
およそ60年前に役目を終えたトンネルを「再活用」しようというプロジェクトが始まっている。坂元龍斗キャスターが現地からお伝えする。

坂元龍斗キャスターが現地からお届け
「旧生駒トンネル」は東大阪市にある近鉄奈良線の石切駅の近く住宅街にある。
今いるトンネルの入口は旧「孔舎衛坂(くさえざか)」駅跡地で、昔線路が通っていて、石垣の上はホームとして使われていた。
普段は扉が閉じていて入ることはできないが、今回は特別に入らせてもらった。

「旧生駒トンネル」は大阪と奈良とを鉄道で結ぶトンネルで、全長およそ3.4キロ。1914年に開通し、大阪と奈良とを行き来しやすくなり、大きく経済が発展した。
国の「近代化産業遺産」にも認定されている。
現在の「生駒トンネル」ができてからは1964年に役目を終え、60年間使われていない状態が続いていたが、トンネルを有効活用しようというプロジェクトが始まった。

入口から500メートル地点に到着!中では…
トンネルの中はひんやりしていて、実は中では「お酒」が貯蔵されている。
奈良の酒造会社の日本酒が300本、焼酎が100本ほど、さらには大阪・柏原市のワイナリーのワインもある。
この場所は一年を通して気温が16度ほど、湿度が98パーセントほどで一定に保たれていて、お酒の熟成に適した環境だ。
試験的にワインを寝かせてみると、通常3年かけて出る味が半年ほどで出たそうだ。

プロジェクトの担当している近鉄のグループ会社「アド近鉄」の音川さんに話を聞いた。
Q.なぜ「旧生駒トンネル」を活用しようというプロジェクトを始めたのでしょうか?
「アド近鉄」の音川峰行さん:
トンネルの天然の環境を生かした取り組みが出来ないかと思い、奈良の酒造会社と大阪のワイナリーに声をかけてみたところ、協力してくださいました
Q.「生駒隧道」というブランドも立ち上げたのですね?(*隧道(ずいどう)=トンネルの意味)
「アド近鉄」の音川峰行さん:
商品が出来たら、統一のブランドという形でロゴをラベルにつけてもらう予定です

Q.お酒の貯蔵以外にはどんな活用方法を想定しているのですか?
「アド近鉄」の音川峰行さん:
農作物の熟成や、産学連携も考えていきたいので、酵母などの菌や製品の経年変化の研究として使ってもらうことを考えています。前に芸術大学の方が見学に来た時は、音の反響にも興味を持たれていました
自然の状態でトンネルを活用しようと様々なアイデアが出されていて、「旧生駒トンネル」の環境を活用したいという事業者を今後、募集するということだ。
(2023年5月25日 関西テレビ「newsランナー」放送)