中東情勢の悪化で不足が懸念されているナフサ。政府は繰り返し「足りている」というメッセージを発信している。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した、元NHK政治部で安倍元総理の番記者を務めた岩田明子氏は、政府が「足りている」とメッセージを発信し続ける理由について「経済活動が縮小しないことを意図している」と解説した。
その上で、ナフサ供給の「出し渋り」や利用する業者の「買いだめ」などによって、“目詰まり”が生じていることを政府は解消しようとしているが、「無数の会社にやっていかないといけない」とその対策の困難さを指摘した。
■「ナフサは足りている」政府の発信の根拠は
今月25日、高市総理は中東以外からの調達の進展などにより、「年を越えての供給継続が可能」と話した。
経産省の資料では、中東情勢の悪化前に日本で1カ月に供給されていたナフサは、国内精製が約110万キロリットル、中東以外からの輸入が約45万キロリットル、中東から輸入しているナフサが約120万キロリットルとなっていた。
この中東からの約120万キロリットルを補うため、『中東以外から輸入』を約135万リットルへ大幅に増やしたとしている。
ただそれでも足りない減少分は、ナフサ由来の化学製品の民間在庫で補填できると説明をしている。

■政府の「足りている」は「経済活動が縮小しないことを意図している」
このように、政府は一貫して「供給の継続が可能だ、足りていないことはない」と説明してきた。
政治ジャーナリストの岩田明子氏はまず、こうした発信を続けている政府の狙いについて、「経済活動が縮小しないことを意図している」と説明した。
【政治ジャーナリスト・岩田氏】「まず政府としては、コロナのときに経済(活動)がシュリンク(縮小)してしまった。
そこの同じ轍を踏むまいということで、調達先も確保して、そして『足りているんです。1回落ち着いてください』ところをまずアナウンスしています。
やっぱり縮小してしまうと、中小の弱いところにしわ寄せってしまうので、まずそれを避けようというアナウンスだったんですね」

■「“前年・前月・同量”での出荷・購入を」働きかけで目詰まり一部解消と岩田氏
一方、岩田氏は「食品関係の会社の役員会に出席することがあり、4月下旬には『インクも足りません。溶剤も足りません』と、足りないものだらけになっているという指摘があった」と言及。
そのため政府は、「川上」=卸や調達を担う商社・「川下」=実際にナフサを利用する業者、流通を担う中間業者、それぞれを調査することで、供給控えや買い占めなどがないように求めてきたと岩田氏は解説する。
【岩田氏】「5月は、そこの部分に政府も目配りをするようになって、中間のところとか、『川下』・『川上』の両方に調査を入れました。
例えば最初の『川上』=卸だったり商社だったりが、『今月分はあるけれども、来月分がないかもしれない』と、供給を控えてしまうということが起きていたから、『いや、ちゃんと足りてますよ』ということを言う。
それから中間業者同士の情報シェアもできていないことがわかってきたので、『“前年・前月・同量”で供給してください』『同じように買ってください』と。
そして『川下』、例えば『シンナーを心配だからたくさん発注してしまう』ということがわかってきたので、それぞれの段階の企業に対して、“前年・前月・同量”でということを言い始めた。
そうすると『ここで目詰まりが起きている』とわかってきたので、解消はされつつあります」

■“目詰まり”解消には「無数の会社」への働きかけ必要か
その上で岩田氏は、こうした“目詰まり”の解消は、多くの企業に働きかけること、それもその時々の最新の情報を伝えることが必要で、簡単ではないという認識を示した。
【岩田氏】「まだそれピンポイントですから、これをもう広く広く無数の会社にやっていかないとなかなか広がらない。
それから(必要なのは)正しい情報をきっちり伝え続ける。更新して、新しい情報をアップデートして共有していかないと、“目詰まり”はなかなか解消できないと思います」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年5月28日放送)

