(1)相続した人が実家に住む

すでに親と同居している相続人がいる場合は、「(1)相続した人が実家に住む」のように、その方が不動産の名義を取得することが考えられます。実際に住んでいるため、他の相続人の理解も得られやすいと言えます。

とはいえ、不動産を取得しない他の相続人から権利を主張された場合は、預金の取り分を多くするなどして調整が必要になってくることがあります。

(2)賃貸物件として貸し出す

昨今は、子供たちもそれぞれ家を持ち、退職しても実家に戻らないというケースが増えています。誰も住む予定がないのであれば、(2)「賃貸物件として貸し出す」ことが考えられます。賃貸に出すことができれば、家賃収入が今後入ってくるのがメリットと言えます。

ただし、自分たちで管理するのか、不動産業者に管理してもらうのかなど決めるべきことがたくさん出てくるのも事実です。そもそも、修繕費等を考えた際に、収支が合うのかといったことも気になります。

(3)更地にして活用・運用する

賃貸が難しい場合は、(3)「更地にして活用・運用する」方法があります。駐車場などが典型例でしょう。賃貸と同様に立地がよければ、検討する価値はあります。ただし、実家を更地にしてしまうと固定資産税が上昇する可能性があります。更地にしたはいいが、その後の負担に気をもむ事態は避けたいと考える方も多いです。

(4)実家を売却する

そこで、愛着のある実家と言えども、売却してスッキリさせるのが(4)の売却です。最も多く選択されているのが、売却ではないでしょうか。売却することにより、不動産を現金化することができます。遺産に不動産以外のものがない場合でも、売却により相続人の間で分配する金銭を得ることができます。

売ってしまうのも一つの方法だ(画像はイメージ)
売ってしまうのも一つの方法だ(画像はイメージ)

この売却もスムーズに進めばよいのですが、個別の課題があります。売却するためには、まずは不動産の名義変更と言われる「相続登記」をしなければなりません。相続登記をするにあたり、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が相続するのかを決めることになります。相続登記で名義を取得した人が、実家を売却する際の売主となります。

必ずしも相続登記で名義を取得するのは、1人でなければならないわけではありません。相続人全員の名義とすることもできます。複数で名義を取得することを共有名義と呼びます。