実家が持ち家の人は、いずれ自分にその相続の順番が回ってくる。もしきょうだいがいる場合は、きちんと「分け方」を考えておかないとあとあと面倒なことになるかもしれない。「実家相続」の方法と注意点を司法書士の岡信太郎さんが解説する。

親が不動産を所有していると、相続が起きた際には子供たちが引き継ぐことになります。もちろん、亡くなった方の配偶者が健在であれば、父親あるいは母親のどちらかにも権利があります。

しかし、その配偶者が亡くなれば再び相続は起こります。そうすると、結局のところはどこかのタイミングで子供たちに不動産が回ってくるのです。

不動産が相続の対象となった際には、特有の難しさがあります。何と言っても現金のように簡単には分けられないということです。

5つの出口戦略

遺産が現金や預貯金だけの場合だと、相続人の間で分けて取得することができます。たとえ揉めたとしても、法定相続分で分けるなり、金額を調整するなりして分割していくことは可能です。

一方で、実家の相続となると、相続人の間で均等に分けたいと思っても、不動産をケーキのように物理的に均等に分けることはできません。土地であれば、「分筆」といって土地を区切ることは可能です。とはいえ、土地の形は様々ですので、分筆していくという方法も現実的ではありません。

土地がうまく分けられるとは限らない(画像はイメージ)
土地がうまく分けられるとは限らない(画像はイメージ)
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それでは、実家の相続が起こった際は、どうすればよいのでしょうか?もしきょうだいのひとりが「自分は不動産はいらないので、現金だけほしい」と言ってきたら、どのように対応したらよいのでしょうか?

この答えですが、不動産の状況や家族構成によって変わってきます。事案に応じてベストあるいはベターな選択を取っていくことになります。

相続人が取れる選択肢としては、主に5つの方法が考えられます。

(1)相続した人が実家に住む
(2)賃貸物件として貸し出す
(3)更地にして活用・運用する
(4)実家を売却する
(5)相続放棄を行う

それぞれの詳細と注意点を見ていきましょう。