スイーツ店やオシャレな雑貨店などが立ち並び、若者にも人気な街、東京・自由が丘。

自由が丘商店街振興組合では2022年4月、「SDGs宣言」を発表。町おこしの一環で、数年前から環境に良い活動をいくつか行っていたが、その活動を集約して「SDGs宣言」とし、持続可能な社会を目指して具体的な目標を掲げた。

自由が丘で作ったハチミツとお酒

自由が丘のSDGs活動を知ってもらうために、20の飲食店が参加する「ほろ酔いSDGs」(~1月31日)というイベントが開催されている。それぞれの店でハチミツを使ったオリジナルのお酒を提供しているが、このハチミツは自由が丘で育てたミツバチから取れたものだ。

居酒屋「鳥へい」では、「ゆずハチミツサワー」と「ゆずハチミツお湯割り」をふるまっている。

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客:ハチミツの味がほんのり、やさしい甘みがします。
 :さっぱりしていて、おいしいです。

「鳥へい」店主の中村四州王さん:市販のハチミツよりさらっとしているが深い味わいで、くどくなく飲みやすい。自由が丘としてみんなでやれることをやっていきたい。

都会でミツバチを育て、緑豊かな街に

なぜハチミツがSDGsなのか。自由が丘では2009年から「丘ばちプロジェクト」という都市養蜂に取り組む。

ミツバチは“環境指標生物”といって、その場所で生きていけるかどうかで環境水準を判断できるバロメーターになる生き物だと言われている。そのため、自然が豊かでミツバチがたくさん蜜を集められる場所は、環境が良く、人にとっても住みやすい街だと考えられている。

ミツバチは自由が丘駅のすぐ近くにあるビルの屋上で飼われていて、自由が丘商店街振興組合の職員や住民が世話をしている。また、ミツバチが元気に飛び回ることができる環境をつくるため、住民にバラの鉢植えを配ったり、お店の前や路地などでバラやハーブのプランターを育てたり、緑化推進も積極的に行っている。

ちなみに、都市養蜂でとれた100%天然の「丘ばちはちみつ」は、採取する季節ごとに味や香りが異なる。ミツバチが吸う花の特徴がそのまま味に反映されるため、春は桜餅のような風味、夏は高い木に咲くムクゲやサルスベリのような深い森の香りが感じられるという。

商店街でオーガニックコットンを栽培

さらに、自由が丘で新しく始まったのが「和綿プロジェクト」。オーガニックコットン専門店「メイド・イン・アース」発祥の取り組みで、2022年から約50店舗が参加し、「和綿」という貴重な日本の在来種のコットンを種からプランターなどで育てている。 

私たちが身に着けている服に使われているコットン。実は世界で栽培されているコットンの多くは殺虫剤などが使われていて、環境に負荷を与えている。一方、自由が丘で育てられている「和綿」は農薬や化学肥料を一切使っていない。地球にやさしいコットンを、自らの手で育てることで、普段当たり前に使っているモノの原点に触れることができるという。

 取り組みに協力する「メイド・イン・アース」の前田剛さん ::自由が丘でうわべだけではない根のはったSDGsの活動を掲げて、持続可能な街にしていきたい。住民や学校にも広げて、和綿を通して人と人を繋げるきっかけにもなれば。

「和綿プロジェクト」の参加者 :店の前に和綿の鉢を置いていると、これ和綿じゃない?なんでこんなところにあるの?と話す人がいる。このような取り組みをどんどん増やしていければ良い。

今後は収穫した綿で糸を紡ぎ、コースターなどを作るワークショップを開催していく予定だ。いずれ、自由が丘オリジナルのTシャツなどを作ることも考えているという。

自由が丘商店街振興組合・中山雄次郎事務長::今、地球で抱えている問題ってこういうものだと気づいてもらえる取り組みにしたい

ビルの屋上で作られたハチミツと、街角に育つオーガニックコットン。自由が丘のSDGsな取り組みに思いを寄せながら、おしゃれな街を散歩してみてはいかが?

(1月27日「live news days」放送 取材・執筆:北山茉由)

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