2月3日は「節分」、神社では「豆まき」が行われにぎわいました。
その一方で、こうした行事を担う神職の後継者が不足しています。
こうした中、広告代理店から「異色の転身」、出雲市にIターンし、神社の「宮司」になった男性に密着しました。

子ども:
鬼は外!福は内!

2月3日、出雲市湖陵町の三部八幡宮で「節分」の豆まきが行われ、境内には子どもたちの元気な声が響いていました。

三部八幡宮・糸賀明広宮司:
神社に福入れて~。

宮司の糸賀明広さん。
祝詞を上げるふるまいも堂に入っていますが、実は神職に就いて3年あまり。
以前は東京の大手広告代理店で営業の仕事をしていました。

この神社の宮司を務めていた義理の父・秋臣さんが体調を崩したのをきっかけに、34年間務めた会社を早期退職して、妻のふるさと・出雲市に移住。
後を継ぎ、宮司になりました。

三部八幡宮・糸賀明広宮司:
おはようございます。

「節分」の日の午前9時頃、糸賀さんが姿を見せたのは、出雲市大社町の西原荒神社。
この日は、この神社の大祭節分祭と記念祭が行われます。

西原荒神社・総代会長:
ちょうどいいタイミングで巡り合いましたね。神事とかはもう私ら素人じゃ無理ですから。

実は、糸賀さん、後を継いだ神社のほか2か所の宮司を兼務しています。
この神社でも前宮司の持病が悪化し、後継者がいなかったため、3年ほど前、糸賀さんに兼務を依頼しました。
島根県神社庁によると、後継者育成の取り組みが実を結び、島根県は人口あたりの神職の数で全国1位。
しかし、10年ほど前と比べると、宮司は40人以上減少。
他の神社の神職が宮司を兼ねる神社は約40社増加していて、神職のなり手の確保が課題となっています。

「神社をまもりたい」…地域住民にとっての切実な願いですが…。

三部八幡宮・糸賀明広宮司:
(兼務が増えると)自分自身で言ったらほんとにルーズになる。僕は解消方法持ってないので、(兼務を)あんまり増やしたくない。(神職不足と)相反する話にはなってきてしまう。

「掛け持ち」が増えれば一つ一つの関わりがおろそかになる。
しかし、誰かが仕えなければ廃れてしまう。
複雑な思いです。

このあと、糸賀さんが訪れたのは、車で5分ほどの本郷荒神社。
宮司を兼ねるもう1つの神社です。
この神社も後継者が見つからず、糸賀さんが宮司を兼ねています。
2か所の神社をあわただしくまわり、糸賀さんが三部八幡宮に戻ったのは午後2時半。
ここからがようやく本来の役目。

三部八幡宮・糸賀明広宮司:
自分の流行りは、ちょっとAIを使いながら祝詞を書いてっていう感じです。意見を言ってくるのがたまに、『あ、なるほどね』『うん、それにする』とかっていうのがちょっと出てきて。

祝詞は、神事に合わせて宮司が考えるそうですが、糸賀さんは「大和ことば」を基調にした古来からの言い回しに自信がなく、祝詞を考えるとき時折、辞書代わりに生成AIも活用しています。
畑違いの転身で宮司になって4年目、経験の差をどのように埋めるか、模索が続きます。

近くの保育園児や地域の人など約30人が境内に集まり「節分祭」。
神事はつつがなく進行し、この日の奉仕がすべて終わりました。

氏子:
もう今後やはり、もう存続される宮なんかはなかなか少ないですわ。だからもうありがたいなと思ってるんです。

三部八幡宮・糸賀明広宮司:
来ていただいて良かったっていうのが、こちらの方優しいので、必ず言うと思うんです。でもそれを本心から言ってもらうようにとか、頑張っていきたいなと思ってます。

古くから地域の人々の心をよりどころになってきた神社を絶やすことなく、いかに受け継いでいくか。
異色の転身をした糸賀さん、自分なりのやり方で奮闘する日々が続きます。

TSKさんいん中央テレビ
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