「仕事や家庭で頑張っている親へ、今だから言えるありがとう」をテーマにした論文コンクールの表彰式が1月、岡山県庁で行われました。受賞した高校生の作品には親への感謝と愛があふれていました。

◆家事はなぜ女性に集中するのだろう…母親への感謝を記した新田涼乃さん「あたりまえなんかじゃない」が岡山県知事賞を受賞

(岡山県知事賞 倉敷天城高校2年 新田涼乃さん<論文朗読>)
「そういえば、なぜ母や祖母ばかりが家事をしているのだろうと考えた」

倉敷天城高校2年の新田涼乃さん。家事はなぜ女性に集中するのだろう?家庭で、ふと感じた疑問に向き合いながら、母親への感謝を記した「あたりまえなんかじゃない」が高校生部門で県知事賞を受賞しました。

(新田涼乃さん<論文朗読>)
「「女が家事をするのが当たり前」と言われる時代は古いのだろうか。私は幼い頃、本当に当たり前なんだと思っていた。親戚の集まりがあった日、キッチンに立っていたのは祖母と母の2人だった。食器の配膳や机の整頓の手伝いに呼ばれるのも私だけで、兄は呼ばれなかった。私はこのことに何も疑問を持っていなかった」

(新田涼乃さん)
「父が家事をしている所を、ほとんど見たことがないので、そういうものだと思っていたが、自分に家事の押し付けみたいなのが降りかかると嫌だったので母もそうかと思った」

仕事と家事を両立させつつ、生まれた時から大切に育ててくれた母親。何か負担を軽くしたいと考えたのが弁当の撤廃。ところが…。

(新田涼乃さん<論文朗読>)
「この作戦は失敗に帰した。母は弁当作りも母親として当たり前の仕事だと思っていたのである。母として当たり前のことをしないということに罪悪感を覚え、悲しそうな顔をする母が嫌で、高校入学のタイミングで弁当を再開してもらうことになった」

(新田涼乃さん)
「昔の私はひどいことを考えていたなと思いつつ、懐かしみながら書いた」

(新田涼乃さん<論文朗読>)
「母さんが家事をするのは当たり前だと思っているかもしれないけど、そんなことはないので私やお兄ちゃんにも手伝わせてください。もっと家族を頼ってね。いつも本当にありがとう」

涼乃さんの母親、加寿美さん。この日、初めて娘の文章に触れました。

(涼乃さんの母 新田加寿美さん)
「あの時の「弁当いらない」はこういうことだったんだなと思った。普段はきょうだい平等に接しているつもりだが、娘の方に手伝いを頼むことが多かったんだなとか、女の子なのだからと古い概念が自分の中にあったのかと思い反省している」

(新田涼乃さん)
「普段は素直に言うことがないが、この機会に(感謝の気持ちを)書いて賞をもらえてうれしい」

◆高校に進学直後、母に病魔が…田中くららさんが当時芽生えた思いをつづった「私の夢と母への想い」は岡山大学長賞を受賞

創志学園高校1年の田中くららさん。2025年の春、高校へ進学した直後、看護師として働く母・幸子さんに嫌な知らせが。定期的な健康診断でガンが発覚し、入学式から2週間足らずで入院、手術を受けることになりました。

その時、田中さんに芽生えた思いをつづったのが「私の夢と母への想い」。高校生部門で岡山大学長賞を受賞しました。

(岡山大学長賞受賞 創志学園高校1年 田中くららさん<論文朗読>)
「私が入学してすぐの頃、母に悪性の乳がんが見つかりました。母の場合、抗がん剤治療では効果が見込めず、手術を受けなければなりませんでした」

(くららさんの母 田中幸子さん)
「病気と入学のタイミングが重なって(娘は)自分のことで不安もあったと思う中、家事をしてくれたり、病院に付き添ってくれていた」

(田中くららさん)
「母のことで頭がいっぱいで、学校よりも母の心配が大きかった」

(田中くららさん<論文朗読>)
「病室で会った時、体からドレーンがつながっていて意識ももうろうとし、全く動けない状態でベッドに横たわっていました。その姿は、私が今まで一度も見たことのない弱々しい母でした。久しぶりに会えたうれしさと同時に母の姿に涙が止まりませんでした。」

絶望の淵に立たされた田中さんは、ある一言をきっかけに前を向く決意をします。

(田中くららさん)
「入院していたとき、泣いている私と妹に「大丈夫。お母さんも頑張ってるから、あなたたちも頑張ろうね」と声をかけてくれた看護師さんがいました。その言葉で心が少し軽くなり、前を向いて頑張ろうと思えました。患者さんだけでなく、その家族にも寄り添ってくれる看護師の姿に心を打たれ、私もそうなりたいと強く思いました」

現在、田中さんは看護師になることを夢に国家試験の合格へ向け、日々、勉強に励んでいます。

(田中くららさん)
「素直に「ありがとう」や「ごめんね」が言えない時が多いけど、心の中ではいつも感謝してるよ。今はまだ迷惑をたくさんかけると思うけど、その分、将来恩返しできるように頑張ります。これからもお母さんの娘としてそばで支えてください」

(くららさんの母 田中幸子さん)
「普段あまり「ありがとう」と言ってもらっていないので素直にうれしい」

(田中くららさん)
「不安も大きかったが、こうした形で「ありがとう」が伝わったなら良かった」

岡山放送
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