仕事の合間やちょっとした買い物など利用することが多いコンビニ。全国の店舗数はここ10年ほど5万7000ほどで大きく変わらず飽和状態ともいえるが、中には独自の商品展開で注目される店舗もある。鹿児島の現状を取材した。
コンビニの2階にバーが!? 大人の寄り道スポット
JR鹿児島中央駅東口すぐ近くにあるファミリーマート鹿児島中央郵便局前店。通勤通学客だけでなく、県外からの観光客も訪れる。
一見普通のコンビニだが、夜になると、2階にバーが登場する。全国に100店舗以上のバーを展開する「お酒の美術館」が手がけたもので、鹿児島唯一の店舗として2021年にオープンした。棚にはウイスキーやブランデーなどが並ぶ。
特徴は、1階で購入した商品を持ち込むことができること。常連客の男性は「下の階のファミマで買った『チータラ』」をおつまみにしていた。さらに、ベーコンやチーズを無料であぶるサービスや、一品150円で燻製にするサービスも提供している。

このユニークな組み合わせにより、この店舗は県内他店と比べチーズやナッツ類の販売数が高い水準を維持している。チャージ無料という手軽さも魅力だ。
カウンターに立つ重田博之店長は、元々こちらの常連客だった。「友達と待ち合わせたり、一人で来て隣の人と一緒に飲んだり、そういう目的でよく利用していた。アイスクリーム、チョコレート食べたいとか、気軽に寄っていただき、楽しんでもらえる場所が提供できれば」と語る。
海沿いのコンビニに朝4時から並ぶ客!そのお目当ては?
霧島市福山町の国道220号沿いにある「ローソン福山町店」は、2017年にオープン。朝4時過ぎという早い時間帯から来店客が増え始める。駐車場には県内のみならず、県外ナンバーの車も多い。そのお目当ての品とは・・・。
店内にずらりと並ぶルアーや餌、氷、それにクーラーボックス。釣り具である。
この店舗の特徴は、目の前に広がる海だ。徒歩圏内にある福山港は釣りスポットとして知られ、秋のハイシーズンには来店客の約1割が釣り具を購入する「釣りファン御用達」のコンビニとなっている。この日北九州から来た客は「初めて来たときはびっくりした」と語り、釣りの「付け餌」のオキアミを購入していた。

朝5時を過ぎると、大きなクーラーボックスを載せた軽トラックが到着。宮崎から来た常連客だ。「ミニボートです。きょうは船釣りに行きます」と準備万端の様子。長時間の釣りのお供にと、おにぎりや温かい飲み物を求める人も多く、店の陳列棚はまるでランチ時のような充実ぶりだ。
開店当初から地元のニーズに合わせた店づくりを目指してきたこのコンビニに雑誌類はない。かわりに地元福山町特産の黒酢が並ぶなど個性あふれる品揃えを実現している。
ちなみに店長の岩元竜也さんは、「私自身は釣りをしないんですよ」と話す。でも「お客さんからいろいろ聞くのでちょっと詳しくなってきた。釣り具を扱うのも珍しいことなので、それを目当てにまた来たいと思っていただける店づくりをしたい」と語る。
地域に根ざしたオンリーワンの店作り
今や我々の日常に欠かせない存在といっても過言ではないコンビニ。品ぞろえは全国それほど変わらないと考えがちだが、実は地域や客のニーズに合わせたオンリーワンの店を目指す取り組みが各地で行われている。
こうした個性的な店舗づくりが今後のコンビニエンスストアの在り方を示す一つのモデルとなるかもしれない。
