広島市の紙屋町・八丁堀エリアで進む再開発。地上31階建ての複合ビルをはじめ、市中心部ではホテルの建設が相次ぐ。
宿泊需要が拡大する一方で、伸び悩むのは定住者の数。転出超過の課題を抱える広島の未来をどう描くのか。変わりゆく街の今を追った。

「カミハチクロス」上層階に高級ホテル

2025年は広島駅周辺の再開発が大きな注目を集めたが、2026年以降は紙屋町・八丁堀エリアも目が離せない。

建設中のカミハチクロス(2025年12月時点)
建設中のカミハチクロス(2025年12月時点)
この記事の画像(7枚)

広島市中心部のメインストリート・相生通り沿いに建設中の「KAMIHACHI X(カミハチクロス)」は、高さ約160m、地上31階建ての複合ビル。2027年4月の竣工予定だが、すでに街の輪郭を塗り替える存在感を放っている。2025年12月末時点で高さは約151m、最上階の床レベルにまで達した。

このビルには商工会議所やオフィスが入るほか、21~31階には外資系高級ホテル「ハイアット」が手がける最高級ライフスタイルホテル「アンダーズ」が進出する。

オフィスからホテルへ 支店都市の転換

広島市中心部では、カミハチクロス以外にもホテルの建設や建て替え計画が点在している。

広島市中区のホテル建設計画(建て替え含む)
広島市中区のホテル建設計画(建て替え含む)

本通商店街周辺や相生通り沿いを中心に、12階建て、13階建て、14階建てといった高層ホテルが相次いで計画され、中には20階建て、17階建ても。平和公園から広島駅を結ぶエリア全体で、ホテルの建設ラッシュだ。

こうした動きについて、広島修道大学・商学部の川瀬正樹教授は、広島ならではの強みを指摘する。
「広島の場合、特に欧米系の観光客が多い。中国人観光客が減っていると言われているけど、広島はそこはあまり影響がない」

川瀬教授と、実際に広島市中心部を歩いた。
インバウンド需要は今後も見込まれるとしつつ、教授はある懸念を口にする。
「元々ここはオフィスだったところがホテルになっている。オフィス需要が限界というか、ホテルのほうが需要が見込める」
宿泊需要の拡大と対照的に、広島が長年担ってきた「支店経済都市」としての役割は変化しているという。
「10年前に比べて、関西圏から広島への人口流入は20%以上減っている。支店の規模が縮小するかわりに、出張で来る。最近ホテルが増えているのは、インバウンドだけじゃなく、そういう側面もあると思います」

転出超過の背景にある「転入減少」

広島県では「転出超過」という言葉が先行しがちだ。しかしデータを見ていくと、問題の核心は“出ていく人”よりも“人が入ってこない”ことにある。

広島県の県外移動者数(広島県人口移動統計調査より)
広島県の県外移動者数(広島県人口移動統計調査より)

県外へ転出した人の数は、2015年に5万3054人。大きな増減はなく、2024年も5万245人と5万人前後で推移している。一方、県外からの転入者数は減少傾向。2015年は5万437人だったが、2022年には4万2818人まで落ち込んだ。
転出が急増しているわけではない。転入が減っていることが、結果として「転出超過」を生んでいる構図だ。

広島市中心部の紙屋町・八丁堀エリア
広島市中心部の紙屋町・八丁堀エリア

川瀬教授は、広島で働きたい、広島に帰りたいと思える魅力的な「働く場」が必要だと訴える。
「観光客が増えることはいいが、増えすぎるとオーバーツーリズムの問題も出てくる。基本的には“住む人”を増やしたい」
そして、こう続けた。
「適度に田舎で、適度に都会な広島に戻りたい人は結構いる。そういう人たちに、いかに戻ってもらうかを考えたほうがいい」

再開発によって姿を大きく変えつつある広島市。高層ビルの影で、この街に「住む」という選択肢をどう育てていくのか。都市としての広島の力が試されている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。