「マナー押しつけるのは酷」
また、出国税を海外旅行者のマナーの啓発使うべきだとということについても明確に反対する。
規則、法律の違反については警察が対応するべきだし、そもそもマナーの概念は国や文化で差異があり、国内でも地域によって違ったりする。そうしたマナーを外国人観光客に押しつけるのは酷だという。
デービッド・アトキンソン氏:
私たちイギリス人からすると、イギリス人として細かいマナーがいっぱいありますけども、日本人は、そのそういうマナーを100%守ってるかっていうと守っていません。で、日本人としても日本人としてのマナーはイギリス人からするともうありえないマナーっていうこともあるんですけども、それを指摘するのかと指摘しませんし、違う国だからそれはしょうがないよねっていうことで片付けることは、非常に多いと思います。
設備投資は日本人の利益にも
アトキンソン氏は、インバウンド政策の要は、日本の人口減少と高齢化にあるという。
少子高齢化によってすでに日本人観光客は、かなり大きく減っていて、これからも大きく減っていくことになる。インバウンド政策は、その問題を解決するために始まったもので、外国人観光客6000万人に持っていくっていうのは、その目的を達成するためのものだという。
そして、外国人観光客は、日本人の観光客に対して、一人当たりだいたい4倍ぐらいの単価を消費する。例えば、日本人の観光客は年間だいたい4億5000万ぐらいで、4000万人の外国人観光客はその1/10に過ぎない。でも、外国人は一回の旅行でだいたい10日間ぐらいは観光するし、全体の観光消費のうちの1/3を占めるという。
また、年末年始や夏休みや土日に集中する日本人の旅行と違い、平日もほとんどもう毎月毎月まんべんなく平準化されているので、その価値は計り知れないという。
そのため日本は海外旅行客をさらに増やし、税収により設備投資を行って、外国人も日本人も楽しめる観光地を作り出す必要がある。出国税3000円はそのためにこそ使うべきだというのだ。
設備投資、というと、鉄道や高速道路など交通手段の充実が思い浮かぶが、アトキンソン氏はかならずしもそれがインバウンドにつながるとは考えていない。その好例が、関東の名湯地、草津温泉に見られるという。
デービッド・アトキンソン氏:
例えば、草津温泉見れば、交通の便がかなり悪いんですけども、町としてその徹底的に整備することによって、交通が交通の便が良くないにもかかわらず、常に人が来ていて、大きく潤ってるっている。行きたくもないようなところの交通の便が良くなったからといって行くかというと行かない。設備投資をするっていうことは、その地域に行って、有益と言いますか、非常に楽しい幸せの時間を、そこに過ごすことが目的なので、そういうようなところがあれば別に交通が良くても悪くても人が行きます。
特にインバウンドの場合は、自分の有給休暇を使って、海外から来るためのかなりの金額を使ってくるので、高いハードルがあがるという。外国人に来てもらうためには整備が必要で、整備さえすれば、日本人だって行きたいという気持ちになる。そういうような、好循環を作る必要がある。
そういう意味では、観光開発に国籍は関係無いのだとアトキンソン氏は指摘する。
日本の人口が減少して、高齢化すると日本人だけでは高い単価を求めての整備はできない。それなら海外から来てもらって、かなり高い単価を取って、そこでもうけて、その金で整備をして、地元の人たちの給料を高くする。そういう意味でインバウンド政策に国籍は関係なくて、盛り上げていくための設備投資の原資をどう調達するかの問題にすぎない。
そういう意味でインバウンドと国内の観光を賢く組み合わせることによって、ベストな観光戦略を実現することは可能だ、と強調した。
(取材:フジテレビ政治部 高橋洵)
