6000万人に持って行くための投資に

では、アトキンソン氏が考える「出国税」の使い道はどのようなものなのか。

デービッド・アトキンソン氏:
2030年までに、(インバウンドを)6000万人に持っていかなきゃいけないということになっています。(これまでの出国税の)1000円というのは、1000万人ぐらいだったインバウンドを4000万人に持っていくための1000円でしたので、6000万人に持っていくために、3000円にするっていうことは、筋が通っていると思います。

アトキンソン氏によると、インバウンドを4000万人に持っていくためにはそこまでのインフラ投資は必要なかったが、これを6000万人まで持って行くためには政府の予算が必要になると言います。

外国人観光客ではじめて日本に来る人は、東京、大阪、京都に行くが、6000万人に持っていくためにはリピーターを増やさなければならない。全く同じところをリピートするわけがないので、新しい観光地の整備をしなければならない。そのために政府の投資が必要だという。

例えば、昭和の時代、社員旅行とか、団体旅行とか、そういう目的に作られた大きな廃屋のホテルがいっぱいある。こうした廃屋の撤去は、徹底的に行うべき。そして、新しい、もう少しこじんまりした単価の高いホテルの建築や、既存のホテルであっても、居室を大きくして風呂を部屋付にするなど工夫が必要だと指摘する。

また、多言語対応とか、解説案内板の設置であるとか、地方でそういう、日本人も外国人も誰もが行きたいような観光地になるための整備に、3000円の出国税を使うべきだと提案する。

「日本人の負担はおかしい」を否定

出国税の増税で、日本人が海外旅行をする際にも3000円を払うことになり、外国人旅行者のための施策に日本人が税金を納めるのはおかしいのではないか、という声もある。この点について聞くと、アトキンソン氏は明確に否定した。

デービッド・アトキンソン氏:
その考え方、不適切な考え方だと思います。そもそも、出国税は日本人が海外に行った時にも払うが、入国税に切り替えたからって言って、戻ってきた時には払うことになります。出国税なのか、入国税によって、その本質が変わるとか、その負担が減ることはありません。
もう一つあるのは、例えば、インフラの整備として出国する時のいろんな、空港の整備だとかも、出国税から実際に負担されています。例えば顔認証っていうのは、日本人もそのメリットを受けている。国内のいろんな観光地の整備も、別に外国人の利益に限定されているわけでもないので、外国人のためという名目で、実際に整備されたいろんな観光地は、日本人の訪問者もかなり増えている。日本人観光客も、そのメリット受けてるわけです。

今回の出国税増税では、その使い道の一つに日本人のパスポートの手数料の割引が検討されているという。この点についてアトキンソン氏に聞くと…

デービッド・アトキンソン氏:
日本人のパスポートの手数料を、非常に安くすることによって、それで、メリットを与えるっていうこと言われていますが、私としてはある程度そういうメリットがあったとしても、今言われているような、1万円安くするっていうようなことはおかしいと思います。外国人観光客を年間6000万人、消費額25兆円まで持っていくために必要なお金なので、その大きな外貨を獲得するための金を国内の、日本人のパスポートの手数料を安くするのにつかうのは、明確な国益の損失、機会損失になります。