日の丸ジェット「三菱スペースジェット」に事業凍結の危機

国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット」について、開発費の削減を進め、事実上、事業を凍結することも視野に検討されていることがわかった。

スペースジェットを開発中の三菱航空機の親会社の三菱重工業は、2020年度の開発費をすでに減らしていたが、関係者によると、2021年度以降、さらに減らす方向で事実上の事業凍結も視野に検討しているという。

初号機の納入時期は、2021年度以降に先送りされていたが、感染拡大などで厳しい市場環境が続く中、早期の収益化が難しい状況になった形だ。

「三菱スペースジェット」の事業が凍結となれば、開発を進めている愛知県、東海地方にも影響が及ぶ恐れもある。

こうした状況に陥ったのには「2つの誤算」があった。

相次いだ設計変更や生産上のトラブル

事業化の決定は2008年だったが、2009年には当初2013年予定だった初号機納入を1度目の延期。その後も、2012年、13年と製造工程や部品調達のトラブルで納入延期を繰り返した。

2015年になってようやく初飛行。しかしその後も2回延期。「MRJ」から「スペースジェット」に名前やデザインを変えてイメージ刷新を図ったが、それでも2020年2月に6度目の延期を表明する事態となっていた。

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新型コロナで飛行機を買う側に大打撃

そしてもう1つが、新型コロナウイルスの感染拡大。スペースジェットの「客」である航空各社に新型コロナで大打撃が及んでいる。

特に国際線で、利用客は激減。運航便も激減し、客がなく飛行機も飛ばせないという状況となり、航空会社の収入は激減した。
ANAは今期過去最大の赤字になる見通しで、JALも4~6月期に赤字転落となる見込み。

航空各社は人員削減や業務効率化を迫られていて、ANAは保有する機体の1割を売却する方針だという。スペースジェットはANA・JAL含め、国内外で300機ほどの受注がある模様だが、この需要環境では納品どころかキャンセルに陥る恐れもある。

コロナ禍からの回復見通しが立たない中、現状ではとても収益性の高い事業とはいえなくなっている。

(東海テレビ)