あくまでも「共感」という心の働きの中の、「他者の気持ちを知る力」だけを測定したものではありますが、「共感力」を構成するひとつの要素としては確かに存在するものでしょう。
物語は他者の感情を理解する力を向上させる
さて、読書は「他者の気持ちを知る力」を高めるのでしょうか。
物語の読書について、答えは「YES」です。
2013年、アメリカのデヴィッド・カマー・キッドさんらは「文学作品を読むことは他者の心を推測する力を向上させる」と題する論文を発表しました(※4)。
この研究で行われた実験手続きはシンプルです。
参加者は、次の2つのグループにランダムに割り当てられました。
・何も読まずに「目から心を読む」テストを行うグループ
・「文学小説」を読んでから、「目から心を読む」テストを行うグループ
結果として、「目から心を読む」テストのスコアは、
・ 文学小説グループ>何も読まないグループ
でした。
2つのグループへの参加者の割り当てはランダムなので、もともとの「他者の気持ちを知る力」は2つのグループでほぼ等しいと考えられます。
すなわち、「文学小説」を読むことで、「他者の気持ちを知る力」が高まった、というわけです。
キッドらのこの研究は非常に注目されて、数多くの研究者たちが同じ結果を再現しようとしたり、類似の実験を行ったりしました。
