人生の終盤をどう迎えるか。
広島市で開かれた終活セミナーには定員150人が集まり、市が作成したエンディングノートが配られた。1万部がひと月で品薄になる人気ぶりだ。行政が終活ノートを推進する背景に迫る。
予約が即満席 市役所で終活セミナー
1月15日、広島市役所で終活セミナーが開かれた。
定員150人の予約は、あっという間に埋まった。参加者の多くは高齢者。会場では、終活の基本となる「家族との話し合い」や「葬儀の事前準備」、「遺言書の作成」など専門家が人生終盤の心構えを解説した。

参加者たちが手にしていたのが、広島市版のエンディングノート「いきいき人生ノート」。
資産情報や、医療・介護の希望、亡くなったときに連絡をしてほしい人などを記入できるノートで、12月12日から区役所などで無料配布を始めたところ、用意した1万部が品薄になるほどの反響だ。
行政が作る理由 相談先まで一冊に
なぜ行政がエンディングノートを作ったのか。
広島市高齢福祉課の升井亮課長は、「行政に関する各種制度の概要や相談窓口など、お役立ち情報をわかりやすく入れることによって、終活に役立ててもらいたい」と話す。
このノートでは、人生の節目となる退職、配偶者との別れ、病気や入院、認知症の疑いなど高齢期に起こりうる出来事が整理され、それぞれに対応する行政の相談窓口が一覧で掲載されている。高齢者と支援先をつなぐ役割も担っているのだ。
また、記入の負担を軽くするためか意思表示についても「選択式」が目立つ。
例えば、「葬儀について」は
□多くの人と盛大に
□近親者のみでごじんまりと
□しなくてよい
などの中から選んでチェック。
「お墓について」では、お墓を用意してある場合と、用意していない場合で記入項目が分かれ、状況に応じて考えを整理できる。
“一人暮らし向け”に広島市独自の工夫
自治体が終活ノートを作る動きは広がっているが、広島市は一人暮らし向けの工夫も加えた。
玄関や携帯電話に貼る「2種類のシール」をノートと一緒に配布。冷蔵庫にノートを掲示し、玄関の内側にシールを貼っておくことで、緊急時にノートの存在を知らせるねらいだ。

セミナーの参加者からは、「このことを地域の人に知らせたい」「娘たちに迷惑をかけないように」「おひとりさまが増える中で助かる」といった声が聞かれた。
広島市の65歳以上の高齢者は約31万人(2025年3月末時点)。市の人口の26.6%を占める。升井課長は「高齢者がいきいきと安心して暮らせる社会を目指したい」と語る。
「人生の終盤を自分らしく」
その思いを受け止める「いきいき人生ノート」は、2026年4月に増刷予定だ。
(テレビ新広島)
