明けた2026年。1年間の無病息災や開運などを祈る新春恒例の“火祭り”の炎が福岡の夜空を焦がした。
1600年余りの伝統 6本の巨大松明
「オイサー、オイサー」と威勢のいい掛け声と共に、赤々と燃える松明を手に進む締め込み姿の氏子たち。

1月7日の夜、福岡・久留米市の大善寺玉垂宮で行われたのは、1600年以上といわれる歴史を誇る日本三大火祭りのひとつ『鬼夜』だ。『鬼夜』は、1994年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。

長さ約13メートル、重さ約1.2トンもある巨大な6本の松明が激しく、荒々しい勢いで燃え上がり、夜空を熱く照らす。

この火の粉を浴びると災いを避けられると伝えられていて、訪れた人たちは燃え上がる炎を見上げながら1年の無事と幸せを願っていた。
『燻手』と『鬼警団』の“熱い”戦い
一方、同じ夜、福岡・太宰府市でも冬の夜空を炎が焦がした。「鬼じゃー」と叫びながら炎と煙で鬼を追い払い1年の無病息災と開運を願う恒例の火除けの神事『鬼すべ』だ。

『すべる』とは太宰府の方言で『燻す(いぶす)』という意味。県の無形民俗文化財に指定され、10世紀頃に始められたとされている。
約600人の氏子が、鬼を退治する『燻手(すべて)』と鬼を守る『鬼警固(おにけいご)』に分かれて神事を行う盛大な火祭りだ。

松の葉や藁に火が放たれると、燻手が巨大な唐団扇(とううちわ)で、鬼が立てこもる鬼すべ堂へと煙を送り込む。

すると鬼警固は、煙を外へ逃がそうと壁を破って抵抗する。約30分に渡る激しい攻防の末、鬼はついに燻し出され『鬼係』に囲まれて退散。2026年も無事、鬼退治が終わった。

参加した氏子は「無事、奉納できて大変嬉しく思う。“除災招福”という言葉もあるので、笑福。福がいっぱい訪れるような年が来たらいいな」と境内を覆う熱に顔を紅潮させていた。

見物客のひとりは「炎が燃え上っていて『本当に全部、焼けるんじゃないか』とちょっとびっくりしました」と興奮した様子で語り、また別の見物客は「(見に来るのは)3年目なんですけど、今年が一番、火もすごくて、煙もすごくて、でもみんなケガがないみたいでよかったです。今年はみんなが明るく楽しく過ごせたら」と1年の無病息災を願っていた。

人々の幸せを願い、古くから受け継がれてきた伝統の火祭り。夜空を赤く染める炎が、この1年を明るく照らし、福を招いてくれそうだ。
(テレビ西日本)
