2025年のプロ野球、セ・リーグは阪神が両リーグ史上最速で優勝し、パ・リーグはソフトバンクが2年連続でリーグ制覇した。日本シリーズでは、第5戦の延長11回までもつれた熱戦を制したソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝いた。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2025年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2026年シーズンを展望する。

『これからオリックスは強くなります。これからのオリックスはおもしろいです』

2025年シーズンから新たに指揮を執った岸田新監督(44)が、現役時代に自身の引退セレモニーで語ったこの言葉。このシーンは6年たった今でも、多くのファンの記憶に残っている。

自身の引退セレモニーでスピーチを行う岸田護監督
自身の引退セレモニーでスピーチを行う岸田護監督
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岸田新監督のもと走り出したオリックスの2025年は、かつてのこの言葉が予言だったかのように、“おもしろい”活躍を見せた選手が次々と現れた1年間だった。

“おもしろい”ように打ちまくった野手陣

2021年から2023年に今世紀初のリーグ3連覇を達成し黄金期を築いたオリックスだったが、常勝軍団として迎えた2024年シーズンはまさかの5位に転落。その要因の大きな一つが、深刻な打撃不振だった。

しかし2年ぶりの王座奪還を目指し始まった昨シーズンは、一転して開幕から野手陣が絶好調。3・4月のチーム打率は12球団トップの.282、2024年シーズンのチーム打率.238から大きく飛躍した数字だった。前年の悔しさを晴らすように、実績のある選手が復活、そして新しい戦力も台頭してきた2025年。この強力打線を特に引っ張ったのが、FA移籍2年目の西川龍馬(31)、そして飛躍を遂げた太田椋(24)だった。

◇西川龍馬(31)
(最終成績:打率.310 打点40 HR5)

特殊なバットで練習を行う西川龍馬
特殊なバットで練習を行う西川龍馬

2023年オフにFA移籍でオリックスに入団した西川龍馬(31)。
巧みなバットコントロールで、完全なボール球やワンバウンドの球でさえもヒットにしてしまう。
そんな西川のことを「天才」と呼ぶ選手も多い。
しかし、大いに期待を受けて迎えた移籍1年目の2024年、セ・リーグとパ・リーグの違いに苦しみ打撃不振に。本来の力を発揮することができなかった。

「精神的にきつかった、忘れたいけど忘れたらあかんのかなって思う」そんな悔しさを胸に始まった西川の2025年シーズン。
キャンプ中、全体練習を終えたあとに、いつも決まった場所でとにかく振り込み自分と向き合う姿、シーズン中も新しく取り入れた練習用バットで試行錯誤する姿、夏場にけがをし、二軍施設で調整を行っていた際には「申し訳なさと焦りたくないっていうのもあって、いろんな感情。でもこういう期間でいろいろ新しい発見もできるから」と前を向く姿も。

そんな、天賦(てんぷ)の才だけではない影の努力を見ていると、昨シーズンの活躍には驚くことはなかった。
シーズンを通してヒットを量産。打率も終盤にけがで離脱し、惜しくも規定打席には届かなかったが、最後まで首位打者争いを繰り広げ、チームの勝利にも大きく貢献した1年となった。
オリックスになくてはならない存在として、けがが完治した状態で来シーズン打席に立つ姿が今から楽しみだ。

けがで離脱中も復帰に向け練習を重ねる西川龍馬
けがで離脱中も復帰に向け練習を重ねる西川龍馬

◇太田椋(24)
(最終成績:打率.283 打点52 HR10)

3・4月 月間MVPを獲得した太田椋
3・4月 月間MVPを獲得した太田椋

3・4月の打率は.411で12球団トップ、その他の打撃部門でも上位にランクインするなど、開幕から絶好調だったのが、2018年にドラフト1位で入団した太田椋(24)。

入団してから度重なるけがに泣かされ、悔しい日々を過ごしてきた太田。思うように野球ができなかったこれまでの6年間だったが、それでも前を向いていた。

「地道にトレーニングだったり、けがした時にしかできないこともあると思うので、しっかり将来の自分に期待するじゃないですけど、もっともっとレベルアップしたいなと思って」と語る太田。焦らず欲張らず。これまでのそんな地道な努力や堅実さが今シーズンの飛躍につながっていた。

「狙い球をしっかり決めて、その狙った球をしっかりはじく。甘い球を一球で仕留める確率を上げる」
太田に今シーズンの好調の要因を聞くと、いたってシンプルな回答が返ってきた。
打席でもヒットを欲しがりすぎない。自分と戦うのではなく、相手ピッチャーと対戦する。
突飛なことをするわけではなく、当たり前のことを堅実に実行することが太田の武器だ。

太田椋:
自分がやるべきことをしっかりやった結果どうなるかっていうのが大事だと思うので、どれだけ活躍してもやるべきことをしっかりやるっていうのが本当に大事。調子に乗らずに、自分がやることをしっかりやりたいなと思います。

今年の結果に甘んじず、来年も堅実な姿勢でさらなる飛躍を狙う。

試合前にバッティング練習に励む太田椋
試合前にバッティング練習に励む太田椋

投手陣にも“おもしろい”存在が…!

一方で苦しいシーズンとなったのは投手陣。
今年ワールドシリーズでMVPを獲得したドジャース・山本由伸(27)をはじめ、球界を代表するピッチャーを数多く輩出してきた投手王国・オリックス。

しかし昨シーズンは、けが人が続出。2023年WBC日本代表の宇田川優希(27)、3連覇に貢献した小木田敦也(27)、前年に移籍1年目で50試合を投げ活躍した吉田輝星(25)がトミー・ジョン手術で長期離脱するなど、特に中継ぎ陣はかなり苦しい状況に陥っていた。

試合前練習中の九里亜蓮
試合前練習中の九里亜蓮

中継ぎの強化に加え、いかに先発投手が長いイニングを投げるかが、例年以上に重要だった今シーズン。

そんな中で、大きな存在感を見せたのが、広島からFAで移籍した九里亜蓮(34)。
球界屈指のタフさが強みの34歳が先発ローテーションの新たな一角を担い、チームトップの11勝を挙げた。
体の強さはもちろん、1イニングでも多くマウンドに立ち続けるという意志や気迫が印象的だった。緊迫した場面で見せる闘志むき出しの魂のピッチングに目がくぎ付けになった人も多いだろう。
そんなアツさがある一方、冷静に自分自身を分析し日々勉強し続ける姿も九里の魅力だ。

九里亜蓮:
本当に1試合1試合勉強しながら投げていました。自分のレベルがこのままであれば、来年しっかりとした成績は残せないだろうなと思うので、さらに野球をうまくなれるチャンス。

まだまだ進化をやめない34歳が、来シーズン、はたして何イニング投げるのか、目が離せない。

舞洲の二軍施設で練習を行う山下舜平大
舞洲の二軍施設で練習を行う山下舜平大

そのほかにも、腰の故障で2025年シーズンは4試合の登板にとどまったが、豪快な奪三振ショーで打者を圧倒し、見る人に強烈な印象を与えた未完の大器・山下舜平大(23)。
シーズン途中にトレードで加入するやいなや“7回の男”として中継ぎ陣の中で地位を確立した、経験豊富な岩嵜翔(36)。シーズン終盤には守護神を任され、今後の活躍も期待される才木海翔(25)など、苦しい状況だからこそ存在感を放った“おもしろい”投手も続々と現れたシーズンだった。

試合前練習中の岩嵜翔・才木海翔
試合前練習中の岩嵜翔・才木海翔

『これからオリックスは強くなります。これからのオリックスはおもしろいです』

今シーズン3位という成績に満足している選手は誰一人としていない。
悔しさを胸に戦う来シーズンのオリックスからは、きっとまた新たな“おもしろい”選手が出てくるだろう。

岸田護監督
岸田護監督

『これからオリックスは強くなります。これからのオリックスはおもしろいです』
もしこの言葉が予言であるならば、来シーズンのオリックスはもっとおもしろく、そして“強くなる”はずだ。
(執筆・オリックス・バッファローズ担当 浦田真有(関西テレビ))