ヒグマの出没が相次いだ2025年の北海道。

 エサを求めるかのようにマチを徘徊し、人が襲われる被害も相次ぐ異常事態となった。

 2026年、そのクマの駆除に関連して、注目の裁判が予定されている。
 
 現役ハンターの思いと裁判のポイントをまとめた。

 「私のような事案と同じことになると警察官の方々も自衛隊の人も撃つことができないですよね」(北海道猟友会砂川支部 池上治男さん (76)

 年の瀬が迫った2025年12月23日。会見を開いたのは北海道・砂川市のハンター、池上治男さんだ。

 処分は見直されることになるのか。

 池上さんは2018年、砂川市でクマを駆除したところ、建物に届く恐れがある方向に撃ったなどとして、道公安委員会から猟銃の所持許可を取り消された。


 「ハンターに頼んでおいて片方で撃ったらダメと。何を信用したらいいんだ。おかしいよ、本当に」(池上さん)

 池上さんは猟銃の所持許可が取り消されたあとも猟友会砂川支部の一員として箱わなでの捕獲に関わってきた。

 2025年はクマの出没が相次ぎ、箱わなで捕獲したクマは16頭にも及んでいた。

 「砂川でも銃で捕獲することを止めた。私の事案があったからですね。高裁の判決が全国のハンターに対する足かせになったと思いますよ」(池上さん)

 猟銃許可の取り消し処分は不当だとして、池上さんは裁判を起こし一審で勝訴しましたが、二審の札幌高裁はこれを取り消し、逆転敗訴。

 池上さんは上告していた。

 最高裁は12月22日、双方から意見を聴くための「上告審弁論」を2026年2月27日午後3時に指定。

 この弁論は結論を変えるのに必要な手続きのため、二審の判決が見直される可能性が出てきている。

 「最高裁で審理をしていただけるということで本当に良かった」(池上さん)

 「(二審は)跳弾の危険があるのだという論調でした。そこについてもブレーキをかけてくれればいいなと思う」(中村憲昭 弁護士)

 最高裁の今回の決定について元検事の磯部真士弁護士は…

 「クマの出没問題で『緊急銃猟』の話題が出ている状況。そんな中、跳弾の危険性が前提とされると『緊急銃猟』のやりようがないんじゃないかという社会的風潮もあると思う」

 「(最高裁での弁論は)社会的にはいいことだと思う」(いずれも磯部真士 弁護士)

 砂川のハンター訴訟。

 2018年にハンター池上さんがライフルでクマを駆除した。

 これによって2019年これを受けて、道公安委員会がこの発砲は「建物に届く恐れのある方向に撃った」として、ライフル銃の所持の許可を取り消した。

 これによって裁判が起こっていきまして、2021年第一審では池上さんが勝訴し、この所持の取り消しを取り消すということになった。

 しかし、二審では逆転敗訴、所持の許可を取り消すという最初の道公安の言っていることが生きることになった。

 これによって、ハンターが銃を所持して発砲するということを恐れるような展開が起きていた。

 これを受けて池上さんは不服として上告した。

 そして12月22日、最高裁が2026年2月27日に弁論を行うことを決定した。

 実質、これは二審判決見直しかとみられている。

 最高裁の決定について、元検事の磯部弁護士によると…

 最高裁が札幌高裁に差し戻しをする形ではないか、弾が跳ね返る危険性について審理を求める形になるのではないかとみている。

 この球が跳ね返る危険性があるというふうに見られると、この街中で行う緊急銃猟が困難になるという懸念もある。

 そのため、最高裁での弁論というものは銃を取り扱うハンターにとっても、そして、わたしたち市民の安全を守るという意味でも、社会的にはいいことだと話をしている。

北海道文化放送
北海道文化放送

北海道の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。