【被害にあった女児の父親】「警察の方から連絡をいただいて、『(娘が)事件に巻き込まれてる可能性があります』ということで、まさかうちの娘が…」

関西テレビの取材に対し、初めて悲痛な胸の内を語ったのは、大切なわが子が性犯罪事件の被害にあった父親です。

【被害にあった女児の父親】「娘が取り乱して泣いていたので、とりあえず落ち着かせて。自分よりも力の弱い子供をターゲットにしてというのは、本当に卑怯で…許せないです」

■1審「悪質の極み」指摘し「無期懲役」の判決 被告は控訴

被告の男は、2016年からおよそ6年間にわたり、大阪府内の集合住宅で、小学生の女の子合わせて10人に性的暴行を加えるなど、複数の罪に問われています。

1審の大阪地方裁判所は被告の男に対し「悪質の極み」などと指摘し、「無期懲役」の判決を言い渡しました。

その後、被告の男はこの判決を不服として控訴していました。

■犯行の前から被害児童や家族を見張り「探偵ごっこ」 入念な犯行計画

初公判で起訴内容を認め、「身勝手な行為で、被害者に精神的苦痛を与えてしまった」と謝罪した被告の男。

裁判員裁判では、入念な犯行計画も明らかになりました。

【被告の男】「(被害者の)全てを知りたいという、『探偵ごっこ』の一部」

被告が語った「探偵ごっこ」。最長で犯行の11カ月も前から、被害児童や家族を見張り…。

【被告の男】「ターゲット3時57分帰宅」

時には動画や写真も添えて、外出や帰宅の時間などを詳細に記録し犯行に及んでいました。

被害者にカッターナイフを見せながら、「泣いたら殺すぞ」などと脅すこともあったといいます。

■被告の男「支配欲みたいなものもあった。相手(被害者)が嫌がっていると認識できていなかった」

【検察】「事件を起こしたのは、なぜ?」
【被告の男】「今思うと、支配欲みたいなものもあったのかなと思います。相手(被害者)が嫌がっていると、認識できていませんでした」

【検察】「泣き叫んだりしているのに、嫌がっているとは思わなかった?」
【被告の男】「思い込みが激しいというか、非現実的な世界に入り込んでいました」

検察は「執拗で、被害者の人権を無視した卑劣な犯行」として、法定刑上限の無期懲役を求刑。

一方、弁護側は「被告は被害について理解し、生涯をかけて償うつもりである」とし、有期懲役刑を求めました。

■「娘の人生を返してくれ」 事件後、1人で自宅にいることを怖がるようになった娘

裁判を傍聴してきた被害者の父親は…。

【被害にあった児童の父親】「許されるんであれば、その場で(被告に)飛びかかっていた。娘の人生を返してくれと言いたい」

事件後、女の子は1人で自宅にいることを怖がるようになりました。

目をそむけたくなる、現実。

それでも裁判を傍聴したのは、ある思いからでした。

【被害にあった児童の父親】「自分がもしかしたら、あの時、守ってあげられていたかなと、そういう気持ちがどこかにずっとあって、後悔することが、ただただあったので。知りたくないこともあったので、つらかったんですけど、やっぱり親である以上、知っておかないといけないのかなと」

(Q.判決を前に思うことは?)
【被害にあった児童の父親】「求刑通り、無期懲役になってほしいと思います」

■「卑劣・悪質の極み」「高度な計画性」と裁判所は指摘 被告の男が裁かれても苦しみは続く

そして迎えた18日の判決。

裁判長は被告の男に無期懲役の判決を言い渡し、こう指摘しました。

【大阪地裁 伊藤寛樹裁判長】「各犯行は健全に育成されるべき女児らを狙って、人格の根幹を傷つけたもので、卑劣・悪質の極み」

さらに、「高度な計画性を備え、性的加害は個別に見ても重い部類で、被告人に対しては無期懲役をもって臨まざるを得ない」としました。

閉廷後、被告の男はうなだれた様子で、刑務官に連行され法廷を後に…。

■裁判員「目の前にすると、かなり重たいものだった」

審理にあたった裁判員は、会見に応じ審理にあたった心境を次のように話しました。

(Q.苦しんできた被害者側の証言など踏まえて感じた事は?)
【裁判員(30代会社員)】「目の前にすると、かなり重たいものだったと思いました。このようなひどい事件が起こらなくなれば一番いいのかなと思っています」

■「普通に恋愛して、普通に結婚してくれたらいいが、男性恐怖症になってしまわないか」

判決の前、父親は娘の将来についてこのように語っていました。

【被害にあった児童の父親】「普通に恋愛して、普通に結婚してくれたらとは思いますけど、男性恐怖症みたいな感じになってしまわないかなと、そういう心配はありますね」

子どもを狙った卑劣な犯行。 
被告の男が裁かれても被害者や家族の苦しみは続いています。

■父親「本音としては死刑になってほしかった。親が死んでいなくなった後も、娘は1人で背負っていかないといけない」

被害にあった児童の父親は判決を受けてコメントしました。

【被害にあった児童の父親】「本音としては死刑になってほしかったけど、無期懲役になったのは良かったと思っています。ただ、娘や家族としては、受けた被害のことは一生忘れることはないし、親が死んでいなくなった後も、娘は1人で背負っていかないといけないので、すごくつらいと思う」

判決は下されましたが、被害に遭った女の子、そして家族の心の傷は、決して消えることはありません。

(関西テレビ「newsランナー」2025年2月18日・3月5日放送)

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