2025年12月15日、東京の個室サウナ店で夫婦2人が死亡した火災を受け、福岡市は市内全てのサウナ店で緊急点検を始めた。福岡でも増えている個室サウナ店の実情を調べた。

市内の全サウナ施設 緊急点検

「私もサウナは大好きですから」と12月22日の記者会見で切り出した福岡市の高島宗一郎市長。「多くの皆さんがサウナを気持ち良く使えるような環境というのを作っていくのは当然だと思います」と述べた。

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サウナ好きで知られ、2025年の『サウナ-・オブ・ザ・イヤー』にも選ばれた高島市長の大号令のもと、12月23日から始まったサウナ施設の緊急点検。福岡市内にある全136のサウナ施設を対象に、非常用ブザーや扉の開閉、避難経路などを確認した。

個室サウナがある施設では、市の保健所と消防局の、合わせて3人の職員が『ドアノブや非常用ブザーが適切に設置されているか』『ドアの開閉が問題なくできるか』『避難経路が確保されているか』などを念入りに確認していた。緊急点検は、2026年1月末まで続く予定となっている。

東京の赤坂にある会員制の個室サウナ店で、美容室を経営する30代の夫婦2人が死亡した火災。扉のドアノブが外れていたことから、夫婦はサウナの室内に閉じ込められたとみられ、事務室につながる非常用ボタンは、受信盤の電源が入っていない状態だった。

保健所の定期検査「記憶ない」

サウナブームにコロナも相まって福岡県内でも増えてきているという個室サウナ。取材班が訪ねたのは、福岡市中央区で2024年4月にオープンしたサウナ店『サウナヨーガン福岡天神』。

「この中がサウナ室になっています」と施設を案内するオーナーの川島匡晴さん。「個室サウナというのはプライベート。気の置けないご友人たちで話してもらうような空間」と話す。もちろんカメラなどは設置されていない。

店舗では、通常の公衆サウナに加え、1部屋90分7700円(平日)から利用できる個室サウナが1部屋ある。個室サウナは、室内から扉を押すだけで、外に出られる。

事故が発生した東京のサウナ室のドアノブの形は「相当珍しいと思います」と川島オーナー。ドアノブタイプは密閉性が高く、火災の延焼を防ぐ面でメリットがあるが、採用している店は殆どないのが実情だ。

サウナ室の安全対策について「非常用の押しボタンがあります。押すと、受付の方で警報音が鳴って、それと同時にサウナストーブがオフになります」と川島オーナーは説明する。

さらに天井には火災報知器が設置されていて、室温が120度以上になると建物全体に警報が鳴る仕組みだ。

一方で、保健所による定期検査について川島オーナーは「ドアノブの確認とか、非常ボタンを押すという確認があるかどうかと言われると、保健所からそういう確認を受けたという記憶はないです」と話す。

厚生労働省は、サウナ室の見やすい場所に非常用ブザーなどを設置することを推奨しているが、最終的に条例などで義務付けるかは、自治体の判断に委ねられているのだ。

プライバシー確保と安全対策の両立を

実は、川島オーナーも過去に、ヒヤリとした経験があったという。

「公衆サウナのストーブの中に客が、脱臭用の木炭を入れたということがあります。公衆サウナは、スタッフが常に見回りをしているので、その時に発見をして大事には至らなかった。もし気付かなかった場合、一酸化炭素中毒のリスクがあったのかなと思うと非常にヒヤッと…」。

仮に個室サウナでそれをやられていたら「気付きようがなかった」という。

プライバシーが売りの個室サウナで、安全対策をどのように進めていくのか。悲劇を再び繰り返さないためにも、行政や業界が一体となった取り組みが今、求められている。

(テレビ西日本)

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