鹿児島大学や霧島市の第一工科大学の学生たちが約1年かけて製作した「鹿児島ロケット7号機」が完成した。2025年度中には種子島の海岸から打ち上げられる予定だ。
安全性を重視した独自設計の宇宙への挑戦
鹿児島ロケット7号機は、全長約2.6メートル、重さ約18キロの機体だ。最大の特徴はその安全性にある。通常のロケットでは燃料として火薬が使用されるが、鹿児島ロケットではろうそくに使われる「ろう」と「アクリル」を燃料とすることで爆発の危険性を排除し、安全性を確保した設計となっている。
機体には日本の主力ロケットである「H3ロケット」さながらに模擬の人工衛星も搭載されており、学生たちの宇宙開発への意欲が感じられる。製作費用は約400万円とのことだ。
打ち上げ成功の条件と回収システム
このロケットの打ち上げ成功には主に2つの条件がある。1つ目は高度約2.5キロまで飛行すること。2つ目は海に落下する際、機体先端部分に格納されたパラシュートが開いて減速し、さらに海中で浮き袋が膨らむことで機体を無事に回収できることだ。
2年間の想いを乗せた7号機
約1時間半の組み立て作業を終えた後、鹿児島大学大学院修士2年の仮屋匠悟リーダーは、「ひとまず組みあがったということで安心している。(去年、打ち上げが行われなかったので)2年間分の想いがある打ち上げ。何事もなくうまくいくことを考えている」と語った。
2024年度は打ち上げが実施されなかったという背景もあり、今回の打ち上げには特別な思いが込められている。
日本の宇宙ビジネスの未来を担う若い力
この「鹿児島ロケット」プロジェクトは、将来的に日本の宇宙ビジネスを支える人材育成の場としても注目される。実際にロケットの設計から製作、打ち上げまでの一連のプロセスを経験することで、学生たちは理論だけでなく実践的な技術や知識を身につけることができる。
種子島から飛び立つ学生たちの夢
鹿児島ロケット7号機は2025年度中に、南種子町にある海岸から打ち上げられる予定だ。種子島は日本の主要なロケット発射場であるJAXA種子島宇宙センターがある場所としても知られており、学生たちにとっても象徴的な意味を持つ場所での打ち上げとなる。
学生たちの情熱と技術力が結実した鹿児島ロケット7号機の打ち上げは、日本の宇宙開発の未来を担う若い世代の可能性を示す象徴的なイベントとなりそうだ。
(動画で見る▶学生が1年で完成させた“鹿児島ロケット”7号機、2025年度に種子島から打ち上げ予定)
