頭にズキズキとした強い痛みが繰り返し起こり、時には嘔吐を伴う片頭痛。その症状の重さから、日常生活への障害が大きい病気の第2位に選ばれており、多くの患者が苦しんでいる。発作は1年を通して起こるが、冬は特に症状が悪化するという患者が多いという。対処法を専門医に聞いた。
冬に悪化する片頭痛、原因は「寒暖差」
冬に片頭痛が悪化する原因として専門医は「寒暖差」を指摘する。
はやせ脳神経頭痛クリニックの早瀬暁医師は「直近では12月の3日、4日には、普段よりも強い頭痛があったとか、頭痛が長引いたという患者が多く受診してきた」とする。
実際に11月28日から1週間の福井市の最低気温のグラフを見ると、普段より多くの患者が発作を訴えたという12月3日と4日にかけて、気温が急激に低くなっていることが分かる。
3日と4日の福井市の最低気温は1度台で、暖かい室内との気温差は20度ほどあったと考えられ、この極端な寒暖差が片頭痛の引き金となった可能性がある。
ただ、片頭痛の正確な原因は、医学的にはっきりと解明されていない。一方で早瀬医師は「片頭痛の患者は変化に非常に敏感」と分析する。
“自分を知る”ことから始める対策
では、どうすれば冬の片頭痛を防ぐことができるのだろうか。
早瀬医師は、服装などで寒暖差を作らないことが対策の一つだと言う。「家の中でも、寒暖差のないようにしたり、寒いところに移動する際は短時間でも防寒具を着る」といった対策だ。
さらに、原因がはっきりしない病気だからこそ、自分だけの原因を突き止める必要があるという。
「自分が苦手な状況や、片頭痛が起こりやすい状況をまず把握することが大事で、私たちは『頭痛ダイアリー』というものをつけてもらっている」(早瀬医師)
頭痛ダイアリーには、起こった頭痛の程度、飲んだ薬とそのタイミング、天気、睡眠時間などを記録する。記録することで自分の頭痛の原因が分かり、対策につながるというわけだ。
痛みを和らげる「頭痛体操」と新しい治療法
さらに、慢性的な片頭痛患者に勧めているという「頭痛体操」を、早瀬医師に指導してもらった。
まず、両足を肩幅に開く。頭は動かさず、両肩をコマのように大きく回す。左右に90度まで回すのがポイントだ。肩甲骨の動きを実感できると良いという。
この体操を行うことで、頭痛を改善するストレッチ信号が脳に送られ、痛みを鎮めることができる。発作が起こっている時は避け、1日2分を目安に行うことを推奨している。
さらに、4年前には片頭痛の予防薬が認可され、治療の選択肢も増えている。「我慢するのが当たり前というのがこれまでだったが、いまは治療法も良くなり、我慢する必要がなくなっている」と早瀬医師。目安として「発作が月に10日を超える人は試す価値がある」とする。

様々な対策や予防法が存在する片頭痛。悩んでいる方は、一度専門のクリニックを受診してみてはいかがだろうか。
