73歳の今も背筋は真っすぐ。秋田・大館市のトレーニングジムで指導に立つ男性は、元ボディビルダーとしての経験を生かし、子供から高齢者まで“筋トレの力”を伝え続けている。その姿は、年齢を重ねてもなお挑戦を続ける人の魅力にあふれている。

ボディビルに魅せられた若き日々

トレーニングピット(秋田・大館市)のオーナー・小畑隆彦さん(73)
トレーニングピット(秋田・大館市)のオーナー・小畑隆彦さん(73)
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大館市有浦にあるトレーニングジム「トレーニングピット」のオーナー、小畑隆彦さん(73)は元ボディビルダーだ。

小畑さんがボディビルと出会ったのは大学時代。「人間はここまで筋肉をつけられるのか」と衝撃を受け、競技の世界にのめり込んだ。

ボディビルにのめり込んでいた学生時代の小畑さん(提供:本人)
ボディビルにのめり込んでいた学生時代の小畑さん(提供:本人)

鍛錬を重ねた経験は、単なる筋肉づくりにとどまらず、体の使い方や健康への深い理解へとつながっていった。

2025年には、秋田県ボディビル・フィットネス連盟の理事長に就任。競技の普及にも力を注ぎながら、筋肉の可能性を広く伝えている。

地元に開いたジムで気づいた“本当に必要なこと”

2010年、生まれ育った大館市比内町扇田にジムを開設した小畑さん。 当初は若者が集まる筋トレ中心のジムを想定していたが、実際に訪れたのは高齢者が中心だった。

小畑さんはジムを開設して「地域に必要なのは“健康づくり”だと気づいた」という。
小畑さんはジムを開設して「地域に必要なのは“健康づくり”だと気づいた」という。

「健康でいたい、元気でいたいという人が圧倒的に多かった。地域に必要なのは、筋トレだけではなく“健康づくり”だと気づいた」と小畑さんは語る。

その気づきが、ジムの方向性を大きく変える。 2021年には、筋力トレーニングと体のバランスを整える操体法を組み合わせた現在の「トレーニングピット」を開設。 地域の健康を支える拠点として生まれ変わった。

小学生から80代まで通う“地域の筋肉コミュニティ”

トレーニングピットで活動する子供たち
トレーニングピットで活動する子供たち

今では会員は小学生から80代まで約140人。世代を超えて人が集まる理由は、小畑さんの丁寧な指導にある。

スクワットひとつでも、「胸を張って、背中を丸めないように」「もう少し前傾してみて」と細かくアドバイス。フォームが整うと、動きが驚くほど安定する。

ジムに通う会員からは、「下肢筋力がついて、つまずかなくなった」「ここに通い始めてから風邪をひかなくなった」といった声が聞こえる。

筋トレを始めて「風邪をひかなくなった」と話す70代会員
筋トレを始めて「風邪をひかなくなった」と話す70代会員

筋肉がつくことで日常生活の質が上がる。その変化を目の当たりにしてきた小畑さんは、筋トレの価値を誰よりも実感している。

筋トレは人生を変える”を地域に広げたい

「ボディビルと健康づくりは関係ないと言われることもあるが、実はものすごく深く関係している。筋肉がつくことで、できることが増える。人生そのものが変わる人もいる」と強調する小畑さん。

「ボディビルと健康づくりは深く関係している」と語る小畑さん
「ボディビルと健康づくりは深く関係している」と語る小畑さん

50年以上筋肉と向き合ってきた男が、今は地域の健康を支える存在となっている。その姿は、年齢を重ねても挑戦を続けることの力強さを静かに語っている。

「大館で筋トレの普及と健康づくりを続けていきたい」――小畑さんの挑戦は、これからも地域の人々の背中をそっと押し続ける。
(秋田テレビ)

秋田テレビ
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