シリーズで伝える『2025くまもとニュースの深層』。今回は2024年から続く『令和の米騒動』について、熊本の暮らしを見つめる。
備蓄米の放出に新米の出荷も…
2025年6月、熊本市東区の『MrMax熊本インター店』。熊本で初めて売り出された備蓄米を買い求めようと並ぶ人の列は当初250人くらいだったが、最終的には400人を超えた。この状況に、店側も開店時間を15分繰り上げることになった。

このときの価格は5キロで税込み1944円。700袋が用意されたが、約30分で完売する人気ぶりだった。買い物客は「買えました。楽しみにしていました」や「なんかホッとしたのと、〈どんなお味かな〉というのが楽しみですし」と話した。

その後、新米が取れる秋を迎え冬がやってきたが、コメの価格は落ち着く気配を見せない。農林水産省のデータでは、12月1日から7日にスーパーなどで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は4321円。過去最高値の4335円を更新した前の週から14円下がったものの、いまだ高止まりが続いている。
米卸店に聞く 今後の価格の見通しは
新米が出ても、なぜ価格が下がらないのか。農家などから直接コメを買い付けて販売する卸店で話を聞いた。

藤木米穀の藤木健太専務は「かなり価格に振り回された一年になりましたね。一つの原因になっているのは農協(JA)の概算金が高かったので。それに合わせて、みんな民間(業者)も買っているので、高く売らざるを得ない状況になっています」と話す。

農家の経営安定を狙い、JAが農家に前払いするコメの概算金が60キロ当たり3万3240円など、例年より高かったことも平均価格が下がらない要因の一つではと分析している。

高値が続く中、いま、コメの供給はどうなっているのか。藤木専務は「供給は十分にあるので、皆さん、(米卸店は)倉庫がいっぱいになって」と話し、現在コメは市場に多く出回り、ここ数週間は商品の動きも鈍化。そのため仕入れを控えめにし、小売価格も下げたという。

藤木専務は「うちはもう、早い段階から(価格を)下げて、なるべくあまり利益を取らずに売るようにはしています」と話す。この日は熊本県産の新米が5キロで3780円と、全国平均より安い価格で販売されていた。

取材の最後に2026年の展望について聞いてみると、藤木専務は「皆さん、けっこう(米卸店は)在庫を持っていると思うんですよね。(来年は)今年よりかは安くなると思います。消費者と生産者がお互い納得する価格で落ち着いてほしいなと思いますね」と話した。
(テレビ熊本)
