シリーズで伝える『2025くまもとニュースの深層』。今回は家計を直撃した物価高の観点から、熊本の暮らしを見つめる。

キャベツやトマトの高騰目立った2025年

2025年も物価の上昇が私たちの生活を苦しめた。帝国データバンクによると、2025年の飲食料品の値上げは2万609品目に。特に原材料高が大きな要因で、2024年の1万2520品目を大きく上回り、2年ぶりに2万品目を超えた。

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また、天候不順の影響で野菜の価格の変動も大きな一年に。年明けに高騰していたのがキャベツだった。農林水産省のデータでは1月には一時、平年のおよそ3.4倍となる1キロ当たり553円にまで上昇したが、現在は180円台と落ち着いている。

一方で秋以降、高騰したのが、熊本県が全国一の収穫量を誇るトマトだ。11月下旬には平年の1.5倍となる1キロ当たり1462円になったが、ピークは超えたとみられる。

熊本大同青果の河添洋平常務取締役は「8月の豪雨と9月、10月の高温によってトマトの出荷量が減少したことが高値の原因と思う。ただ、いまはようやく出荷量も落ち着いてきたこともあり、価格は平年並みに戻っている」と話す。

プライベートブランドで求めやすく

『ゆめタウンはません』などを運営するイズミでは、物流コストを抑えることなどで低価格を実現したプライベートブランド『ゆめイチ』の販売に力を入れている。

デイリーフーズ主任の中村勇樹さんは「物価が上がっている中で『節約したい』という声が多いが、一方で『品質やおいしさにこだわりたい』という客もたくさんいる。価格と品質に〈一番に寄り添い〉〈食卓のいちおし商品を届けたい〉という思いでプライベートブランドを展開している」と話す。

納豆の場合だと、熊本市に本社がある『マルキン食品』と共同で商品を企画し作っていて、買い物客がより親しみを持ち、安心して購入することにつながっているのではないかという。

買い物客は「価格が安かったから、これを選んだ」や「よく買う。価格は安い、他のより」と話し、プライベートブランドの存在は「おいしいものを食べたいけれど、節約したい…」そんな気持ちに応える形となっているようだ。

一方で、地方経済総合研究所の嶋田英岳主任研究員によると「政府の物価対策で、国内のモノの価格はやや落ち着きを見せているものの、来年も一定の上昇が続くと見込まれる」という。また、帝国データバンクのデータでも、2025年より品目は少ないものの、酒・飲料を中心に値上げが予定されているという。

(テレビ熊本)

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