俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。

今回訪れたのは、みかん王国として知られる和歌山県有田(ありだ)市です。

世界にも認められた独自の栽培法とは?

さらに、年間200万本売れる「飲むみかん」の驚きの製法にも迫ります。

【大東駿介さん】「めちゃウマ!!」

■みかん色に染まる町「有田」

大東さんが映画の撮影で1カ月滞在したという、思い出の地「有田市」。

【大東俊介さん】「知れば知るほど魅力がものすごくたくさんある場所」

有田市は、今の時期、収穫真っ最中のみかんで有名な土地です。

日本で生産されるみかんの1割が有田産。もちろんこれは日本一の生産量です!

収穫の時期になると有田の街はみかん色に染まり、まさにみかん王国の風景が広がります。

■有田の常識「有田むき」とは

去年、有田市にみかん狩りに訪れ、家には常にみかんがあるというほどみかん好きな大東さん。

有田の常識「有田むき」と呼ばれるみかんの独特なむき方を知っていました。

普通は皮をめくって食べるみかんを、有田では皮ごと4等分にするのが「有田むき」です。

口で実を皮から剥がせば、農作業中の手が汚れた状態でも食べられる、有田ならではのむき方なのです。

有田むきを披露した大東さん、みかんを食べると…

【大東駿介さん】「もうこんな甘い!?甘いわ~」

■有田みかんの歴史

世界にも認められている有田みかんが、これほどまでに甘い理由はなんなのでしょうか?

有田でみかんの生産から加工販売までを手がける早和果樹園を訪れます。

2代目の秋竹さんにみかん畑を案内してもらった大東さんは、圧巻の景色に驚きます。

【大東駿介さん】「豊かな土地やな!圧巻やな!上も下もみかん」

1年を通して温暖な気候で、日照時間も長い有田。450年ほどの歴史があり、江戸時代初期には、山の斜面を利用して段々畑が作られていました。

【大東駿介さん】「収穫のピークは2カ月ですけど、収穫の時期は過酷ですね」
【秋竹さん】「超過酷です。でも全部取らないと、みかんって切らないと落ちてくれないんです。人の手でカットしないと」
【大東駿介さん】「若い人手が必要ですよね」

有田の若者は、大体「短期バイト」でみかんの収穫をやったことがあるそうですよ。

■世界も認めた独自の栽培法“石垣の段々畑”

有田のみかん栽培で最も特徴的なのが、「石垣」です。

誰がいつ作ったかわからない昔の石垣がいまもみかん栽培を支えていて、一度崩れてしまうと修復するのはとても大変なんだそうです。

【秋竹さん】「1番の利点は水はけですね。甘いみかんにしようとしたら、水をちょっと少なくしてあげる」

与える水分を少なくして、多少のストレスをかけることでみかんの糖度が上がります。石垣は雨が降った際に、土の中の水分を適度に流す役割があるのです。

その他にも、石垣を組んで斜面を段々畑にすることで日光がまんべんなく当たることや、石が太陽の熱を蓄えるため、冬場でも土の温度が高くなり、養分が吸収されやすくなることなど、さまざまな利点があります。

2025年8月、このみかんの栽培法が、国連の専門機関が定める世界農業遺産に認定されました。

【秋竹さん】「我々のやってきたことが世界に認められて、今回の認定には喜んでおります」

■おいしいみかんを見分けるコツ

みかんを食べるとき、どこを見ればおいしいみかんを見分けられるのでしょうか?

秋竹さんによると、「皮が薄く張っている」、「表面がやや乾燥してでこぼこがある」と糖度が上がっている印だということです。

秋竹さんが選んだおいしいみかんをいただきます!

【大東駿介さん】「うま…!びっくりする、甘みが強い!適度な酸味も感じて、くどくない。100個くらいのミカンをぎゅっと濃縮して固めて包んだんかっていうくらい甘い」

早和果樹園でひとつのシーズンに獲れるみかんはおよそ223トン。選果場と呼ばれる場所で、大きさごとに3種類で自動で選別されていきます。

商品の企画に満たさなかったみかんは、ジュースとして活用しています。

■年間200万本売れる「飲むみかん」の驚きの製法

農園の近くにある、早和果樹園のカフェを訪れた大東さん。併設されたショップには、様々なみかんの加工品が並んでいます。

中でも年間200万本売れるという商品が「飲むみかん」です。

【大東駿介さん】「不思議なもので、生のみかん食べるのとは全然違うあじわい。口の中にうま味が流れこむ。めちゃうまです」

その美味しさの秘密は製法にありました。

みかんに蒸気を当ててやわらかくした後、人の手で完全に外の皮をむき、そこから裏ごしして果汁を搾ります。

皮の油分が入らないため、果汁の鮮度をより感じられ、まるでみかんを食べているかのような味わいになるのです。

【秋竹さん】「薄皮は置いておくんです。ここが重要です。薄皮ごと絞ってみかんを食べる感覚で飲んでいただきたい」

■みかんを丸ごと使い切る「捨てない加工」

さらに、むいた皮も捨てずに別の商品になります。

みかんの皮は漢方などにも使われ、様々な効能が期待できるもので、早和果樹園では乾燥させて粉末状にしたものを、七味の原料として活用しています。

【大東駿介さん】「うわ、ほんまに柑橘の香りがふわっと抜けますね。うどんとかに入れたら効くんですね」

他にも、ジュースを搾った後に残った薄皮の部分はスムージーへと変身。食物繊維が豊富で食感も楽しい、人気の商品です。

■「農家さんのために」みかんを使い切る理由

みかんを丸ごと使い切る努力を続けているのには、ある理由がありました。

【秋竹さん】「みかんをできるだけ捨てない。全てを資源として使う。『捨てない加工』って呼んでるんですけども。こういうことをやることで『有田みかん』の価値が上がってくるんですね。

そしたら、農家さんの収入の下支えになって、もっと『来年もみかん作ろうかな。10年後もみかん作ろうかな』っていう形になっていく。有田みかんを通じて産業を盛り上げていくために、ドンドンみかんの価値を上げていきたいなと考えております」

【大東駿介さん】「生産者の方も本当に農家の方も大変じゃないですか。みかん育てるって。これを『来年どうしようか』となった時に、農家さんも1年を乗り切る活力になるわけですもんね。ブランドになるって、ただ付加価値をつけるという意味じゃなくて、伝統を守っていく意味でもブランド化するのはすごい大事なことなんだなと知りました」

(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2025年11月27日放送)

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