静岡県牧之原市と吉田町に甚大な被害をもたらした竜巻から12月5日で3カ月です。住宅の再建が進まず不安を募らせる住民がいる一方、日常の復興に向け着実に歩みを進めているところもありました。

斉藤力公 記者:
ダウンを着ていないと寒い気温で時間の経過を感じます。街並みを見てみますと、復旧復興はあまり進んでいない印象です

9月5日、台風15号に伴い発生した国内最大級の竜巻。

男性1人が死亡したほか牧之原市と吉田町では1700棟を超える住宅に被害が及びました。

水井喜美恵さん:
隣の部屋も雨が入って壁の中までぬれてカビが生えて、家も傾いているので直すのはほぼ厳しい

被害の大きかった細江地区に住む水井喜美恵さん。自宅は全壊と判定され市の公費による解体を待っています。

しかし…。

水井喜美恵さん:
いつ受付が始まるのか毎日待っているだけで何もできない。3カ月のうち2カ月は今の状態のまま時が止まっている

受付すら始まっていないという公費による解体。能登半島地震では発災後3カ月までに16の市と町すべてで公費解体の受付が始まりました。

なぜ牧之原市では進んでいないのでしょうか。

斉藤力公 記者:
市は公費解体ででる廃材をこちらの仮置き場に持ってくるため、いまある災害ゴミなどの搬出を進めています

市は廃材置場の確保や業者の手配など市民の大切な財産を扱う枠組みづくりに時間がかかっているためと説明。年内の受付開始を目指していますが、着手まではさらに時間がかかる見通しです。

いつになるかわからない解体。水井さんはそれまでの間、みなし仮設で生活をすることにしました。

水井喜美恵さん:
早く普通の暮らしをしたい。屋根があって窓もあって寒くなくてという。うちみたいに解体しないと傾いている家は公費解体をあてにしている

一方でこの3カ月で着実に復興への歩みを進めている場所も。

細江地区の「えのきだクリニック」。竜巻で屋根が吹き飛び窓ガラスは割れました。

内視鏡など医療機器も水浸しに。休診にせざるを得ない状況でしたが2週間後には仮設のトレーラーハウスで通院患者を対象に問診や薬の処方を開始。

そして、被災から2カ月経った11月1日。すべての診療を再開しました。

患者:
大きい病院あるけど、なかなかね…。(Q.ありがたいですか?)ありがたい

患者:
まだこの周りもあまり(復旧が)進んで進んでいないところもあるが、みんなが健康を保つためにここができたことが良かった

生まれ育った牧之原市を医療で支えたいと開業してから3年。未曽有の災害を経験し地元への恩返しの気持ちはさらに強くなっているといいます。

えのきだクリニック・榎田浩平 院長:
本当にいろんな人、患者さんだけでなく今回のことで復旧を手伝ってくれた多くの人がいるので、そういう人たちに感謝の思いを持ちながら診療を続けていきたい

日常の復興へ。被災地の歩みは続きます。

テレビ静岡
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