まもなく本格的な雪のシーズンがやってくる。
札幌市をはじめ多くのマチがスポーツをする環境を整備しているが、子どもたちの運動能力は全国平均にはなかなか及ばない現実も。
そこで今回は、どうすれば力を伸ばせるかを探る。
スキー場もシーズンイン
ウインタースポーツのシーズンが2025年もスタート。
先週、札幌市では早速スキー場がオープンした。
「1年間楽しみで、きょうは有給を取ってきたので楽しもうと思う」(スキーヤー)

札幌市はスポーツの発展と共に歩んできた街。
今から53年前の1972年にはアジア初の冬のオリンピックが開催され、市内いたるところが舞台となり、リュージュのコースを市民が手作りで製作する様子も。
マチをあげて一大イベントを支えた。
その後も―。

「愛称はコンサドーレに決定しました」(1996年)
北海道コンサドーレ札幌やレバンガ北海道などプロスポーツチームをはじめ、陸上や野球などアスリートが活躍するフィールドが整備されてきた。
スキージャンプ界のレジェンド葛西紀明選手。
大倉山ジャンプ競技場では2024年2月に2シーズンぶりの優勝も。
葛西選手にとって”大倉山”は自らの活躍を支える相棒だ。
「大倉山はあの特有のいい向かい風が吹いてくれるので飛んでいて楽しい」(葛西紀明選手)

さらに愛弟子伊藤有希選手は世界で戦う中で、札幌市には唯一無二の環境があると話す。
「ここまで街に近いジャンプ台はない。ジャンプと市民の距離、ファンとの距離が近いと感じる」(伊藤有希選手)
札幌市ではラージヒルの隣りにノーマルヒルを併設するデュアル化の整備計画が進行中。
2030年度の完成へ葛西選手も期待を膨らませる。
「僕がジャンプを続けている時に横にノーマルヒルが来てくれたらうれしい。活躍して成績を出してジャンプ選手になりたいなって思わせるようにしていきたい」(葛西選手)

体力テストの結果は?
充実した環境の整備が進む一方、実は子どもたちにはこんな課題も。
「平成25(2013)年度の統計開始から全国平均には届いていないというのが現状」(道教育庁学校教育局 瀬越義範さん)
全国の小中学生を対象にした体力テスト。
8種目の合計点で北海道内の小中学生は全国平均を下回っている。

種目別では体格の良い子が多いこともあり、握力やボール投げなど瞬間的に大きな力を必要とする種目で平均を上回る種目がある一方、50メートル走や持久走などは下回る状態が続いている。

スポーツは好きか、子どもたちに聞いてみると――。
「まあまあ好き。サッカー好き」(小学1年生)
「ちょっと苦手。難しかったりするから。跳び箱とか縄跳びができない」(小学4年生)
「YouTubeに走ってしまう時はあるが、遊べる時は親子で目一杯遊んでサッカーやったり鬼ごっこしたりという感じ」(保護者)

中学生になると全国平均からさらに差が広がり、北海道もこの傾向を大きな課題として捉えている。
「運動する子としない子など運動能力の面も含めてだが、運動習慣や運動の意識も大きく二極化しているのが要因としてあるのか」
「パソコンなど画面を見ている時間、いわゆる”スクリーンタイム”が少ない子どもが全国よりも少ない」(いずれも瀬越さん)

早いうちにスポーツと触れあってほしい。
札幌市中央区の12歳以下向けのスポーツスクールでは、子どもたちがユニークな運動に取り組んでいる。
「水筒持って移動します」
サッカーやバスケットをした子どもたちは20分ごとに次の部屋へ移動。
今度は陸上など別の運動をしている。

「スポーツを通した体づくりというのがテーマになっていて、試合やシュート練習を行うのではなくて、例えばサッカーだったらサッカーを通した体づくりというのをテーマにしている」(ULUCUS PARK 赤坂慧さん)

1つの種目に打ち込むのではなく、20種類以上の種目に触れて体の動かし方を身につけてもらおうという取り組み。
普段なかなか体験できない動きを通じて、子どもたちもスポーツの魅力に気づき始めているようだ。

「楽しかった。サッカーとマットとバスケとか」(小学2年生)
「(Q:苦手なスポーツは?)ない」(小学1年生)
「子どもは元々、超インドア。おうち大好き。スポーツに関して前向きになってくれた」
「来るとバクバクとすごいスピードでいつもよりご飯を食べたりとか、食と睡眠に本当につながっていると体感している」(いずれも保護者)

スポーツを好きになってもらう取り組みを始めて約2年。
入会する子どもたちは増加傾向にあるという。
「まずは子どもたちに体を動かすことの喜びなどをいろんなスポーツを通して感じてもらい、探求してもらうことを繰り返してもらうことで(運動の苦手意識を)改善できる糸口になってくるかと思う」(赤坂さん)

氷上のチェス=カーリング
北海道民の誰もが気軽に触れられ、オリンピック選手が身近にいる競技といえば――氷上のチェス、カーリングもその1つだ。
「大学生になったという実感が日を追うごとに湧いてきた」(吉村紗也香選手 2010年)
2026年のミラノ・コルティナオリンピック出場を狙うフォルティウスの吉村紗也香選手は、北見市常呂町出身。
大学進学を機に札幌市を拠点に活動を始めた。

2012年には通年で利用できる専用カーリング場が札幌市豊平区に完成。
市民に身近なスポーツになったほか、選手にとってすぐそばで練習に専念できる環境が整った。

吉村選手は大学卒業後に北海道銀行へ入り、札幌市で競技生活を続けている。
「私たちここを拠点に練習しているが、本当にここのカーリング場の稼働率高い中で時間を確保してくれて練習できているので感謝」(吉村選手)
オリンピック出場がもう目の前まで見えてきた「フォルティウス」。
地元札幌市のファンへ活躍を誓った。
「支えてくれる人がいるから競技と向き合えていて感謝の気持ちでいっぱい。必ずオリンピアンになって帰ってきます!」(吉村選手)
