LINEの乗っ取りで、10万円を振り込む被害も…。
いま、新たな手口によるLINEの乗っ取り被害が相次いでいる。

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大学院生「乗っ取りとかじゃなくて?」
乗っ取り犯「ハイジャックはしていません」

なりすましの別のアカウントから…

千葉市に住む、60代のAさんも11月7日、被害に遭った一人。

Aさん:
すごい巧妙な手口だなと思って。善意を利用するものなんでしょうけど、本当にひどい。

LINEが乗っ取られたキッカケは、インスタグラムのダイレクトメッセージだった。

「友達のお子さんの絵画コンテストに投票していただけますか? 数分で完了します。」

Aさんは、メッセージの送り主が、知人のBさんと同じアイコンと名前だったことから、「いいですよ」とすぐに応じた。

しかし、メッセージの送り主はBさんになりすました、別のアカウントだった。
Aさんに送られてきたのは、実在するコンクールを装ったサイトのURL。

投票のため、LINEとの連携を求められた。

Aさん:
投票するためにLINEに飛ぶんだ、くらいにしか思っていなかった。何の疑いもなく、電話番号とパスワードを入れてしまい、認証番号も入れてしまった。とたんに、私のLINEが入れなくなっていて…。

怪しむことなく、電話番号やパスワードなどを入力。
すると、その情報が悪用され、AさんのLINEが乗っ取られてしまったという。

そして複数の友人に、勝手に送られたメッセージが…。

「今、お暇ですか?」
「PayPayは使えますか?」
「親戚の急な用事があって、ちょうど送金限度額に達してしまい、20万円、代わりに振り込んでいただけますか?」

こうしたメッセージを受けた友人の中には、実際に振り込んでしまった人も…。

Aさん:
LINEで10万円送ってくれた人がいる。お友達にお金を使わせてしまったし、自分がパスワードを入れちゃったのが悪いんだけど、善意を詐欺に使うなんて本当にひどい。

九州地方に住む会社役員の男性は11月3日、同じ投票を呼びかける手口で、LINEを乗っ取られ、対応に追われた。

LINE乗っ取り被害に遭った会社役員  男性:
パニック状態というか、とにかく連絡がとれる人に連絡をつがないといけないと思いまして、一睡もしない状態で次の日は仕事に行きました。

SNSを使い慣れた会社役員もだまされる、巧妙な手口。

「今、お手隙いらっしゃいますか?」

メッセージを見た男性は日本語の違和感について…。

LINE乗っ取り被害に遭った会社役員  男性:
眠りかけていたような時間帯だったので、気づくことができなかった。自分がだまされるとは思わなかった。

専門家「LINEにはメッセージのAI機能」

さらに、大学院生は、LINE乗っ取り犯とこんなやりとりを交わしていた。

乗っ取り犯「いまお忙しいでしょうか?」
大学院生「少しくらいなら。あ、送り間違い?」
乗っ取り犯「PayPay使えますか?」

相手の文体は、最初は敬語だったが…。

「2万円貸してほしい。明日の朝にお金返すから。」

大学院生に合わせて、いわゆる“ため口”にシフト。

このやりとりを見て、専門家は新たな詐欺の特徴だと指摘した。

ITジャーナリスト・三上洋さん:
LINEにはメッセージのAI機能がある。先輩ならば丁寧に、同僚ならば仲良くという感じの表現をAIが作ってくれることになる。

続けて、大学院生の指摘に驚きのワードが…。

大学院生「乗っ取りとかじゃなくて?」

乗っ取り犯「ハイジャックはしていません」
大学院生「ハイジャック?」

“乗っ取り”を“ハイジャック”と、衝撃の誤変換。これもAIゆえなのか…。

乗っ取り被害について、LINEの運営会社は…。

LINEヤフー株式会社
「LINEの登録情報や、認証番号を聞き出したり、画面に入力させたりする行為は全て詐欺です」

ヘルプセンターでは、詐欺画面の例を示して注意喚起している。
(「イット!」11月20日放送より)