荒れた登山道を利用者の手で自ら直す「しずおか山守隊」の整備ツアーが南アルプスで初めて開催されました。

静岡県内外から集まった参加者が整備したのは死亡事故も発生している険しい登山道です。

紅葉真っ盛りの畑薙大吊橋。南アルプス・茶臼岳への入口です。

茶臼小屋 小屋番・名倉健兒さん:
注意することがあります。つり橋を渡ると絶望的な登山道に入ります。景色が見たいでしょうが、絶対景色を見ないでください。足元だけ見てください

茶臼岳の登山道は崩れて狭い場所が多く、2024年は死者が1人重傷者も2人出ています。

登山道を管理する静岡市、そして「しずおか山守隊」に参加した一般の15人が今回整備するのは、“急斜面”。

整備指導 天城トレイルワーカーズ・倉原卓也 代表:
こちら側の法面を補強する、法面を補強することで、そこから植生が生えてくる。新しい木の根が生えやすい環境の法面を施工する

目指すのはただ歩きやすい道ではなく、まわりの自然になじむ山と人と共生できる道。作業開始後参加者で掛け声をかけながら運んでいたのは“倒木”です。材料には倒木や木の枝など周囲にあるものを使います。

1泊2日で参加費2万8千円の整備ツアー。県内だけではなく東京や山梨、愛知からも登山者が参加し作業に精を出しました。

また、整備には、地元・井川出身で茶臼岳を練習の拠点としている山岳ランナー望月将悟さんも参加しました。

井川出身の山岳ランナー・望月将悟さん:
整備したいと思ってもどこからどういう知識を得るのか、どうやっていいのか全然知らなかったので、いま学んでいるがすごくいい勉強になっている

そして作業開始から約3時間。完成したのは安定して降りられる木の階段です。

参加者:
いつも楽しませてもらっている南アルプスに少し恩返しができたかなというところで、とてもためになる2日間になった

参加者:
最初は登山道整備は道をきれいにするだけだと思っていたが、山を豊かにするために土壌を止めたり、隙間を空けて木の根が生まれるようにするというのが、すごく勉強になった

静岡市環境共生課・石田智 担当課長:
なかなかいま行政だけではこの広大な場所を管理しきれない状況。今回こういった形で協力してもらったので、来年度以降も皆さんと行政の力を合わせてみんなでよくしていきたい

前日には南アルプスの玄関口井川にできた「南アルプスエコパークミュージアム」を見学し南アルプスの食の恵みを堪能した参加者たち。

今後も楽しみながらの南アルプスの整備が続けられる予定です。

テレビ静岡
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