クマの目撃が過去最多を更新し続ける中、猟友会のハンターの負担が大きくなっている。FNNが行った調査によると、支払われる報酬は自治体によってそれぞれ異なり差が大きいことがわかった。

県によると、2025年の山形県内のクマの目撃件数は2386件・捕獲件数は969件と、いずれも過去最多となっていて、猟友会のハンターへの負担はこれまでになく大きくなっている。

こうした中、FNNでは先週から今週にかけて県内の市町村に対し「ハンターへの報酬」についてアンケートを実施し、35市町村中31の市町村から回答を得た。

それによると、支給の方法が「時給」「日当」「捕獲1頭あたりの報酬」など、自治体によって差があることがわかった。

《時給を採用》
山形市や天童市など14の市町村。
ハンター1人あたりの時給が最も低いのは鶴岡市で956円。
米沢市・舟形町・大蔵村が最も高く2000円。
さらに米沢市は、緊急対応時に時給を3000円に引き上げている。

《日当として報酬を支給》
新庄市や尾花沢市など5つの市町村。
金額は1人あたりで、新庄市4000円、東根市8200円と差がある。
金山町は最大で1万円としている。

《単価を設定して支給》
ハンター1人あたりの時給や日当ではなく、クマの捕獲1頭ごとの報酬や、箱わなの設置・見回り費など単価を設定しているのは12の市と町。
捕獲1頭あたりの報酬を見てみると、戸沢村の5000円に対し南陽市は3万円と6倍。
上山市は、1頭の捕獲でも3頭の捕獲でも“1件”として10万円を支払っている。

また大江町は捕獲のほかに、「被害現場の確認費」や「箱わな設置後の見回り費」など細かく6つの項目を設定している。

このほか、山形市・飯豊町など9つの市町村は「時給」「日当」の支給に加え、捕獲1頭あたりの報酬を支払っている。

このように、自治体がさまざまな形で報酬を設定する中、2025年度、大幅に増額した自治体がある。
舟形町では、時給を1000円から2000円に倍増、さらに捕獲1頭あたり2万円の報酬を新たに設けた。

(舟形町農業振興課・斎藤雅博課長)
「猟友会のみなさんはクマ対策の先頭に立ち命がけで活動している。負担は非常に大きく、猟友会員は高齢化・人数が減少している。金額的な支援も猟友会・ハンターの話を聞き、必要なものを講じ寄り添っていきたい」

「クマ被害の急増を受けて報酬などを引き上げた」と回答したのは8つの市町村。
また、「報酬の増額を検討している」と回答したのは20の市町村だった。

2025年度に報酬を引き上げたばかりの舟形町だが、日々増え続ける猟友会への負担を目の当たりにし、さらなる増額の検討も始めている。

しかし、それを実現するために不可欠なものとして「国からの交付金の増額」を挙げている。

(舟形町農業振興課・斎藤雅博課長)
「少なくとも3万円、1頭あたり3万円は必要。国の対策で金額・単価が示されていないが、今の状態ではまったく足りない状況。たくさん予算をつけ、単価の引き上げを願いたい」

FNNのアンケートでは、「国からの交付金が不足している」または「将来的に不足するとみている」と回答したのは25の市町村で、「国に増額を求めたい」と回答したのは28の市町村にのぼった。

2025年のクマの目撃件数が450件余りと、県全体の5分の1を占める鶴岡市もアンケートで「交付金の増額を求める」と回答している。
佐藤聡市長は20日の会見で次のように語った。

(鶴岡市・佐藤聡市長)
「猟友会は報酬が出るが、実質的にはボランティアという形で銃などを用意している。それがいつまで続くかわからない、回数が多いと負担感もある。命をかける厳しい現場に立ち会うということ。銃弾も今は報酬に含まれるという考え方のようだが、そこも何らかの形で負担するのが望ましい」

クマの出没は12月以降も続くとの見方が強まる中、手探りでの対応はまだ続きそうだ。

鶴岡市の会見の中で、猟友会によるクマ対策などの事業に充てる目的で「ふるさと納税」を活用する方針も明らかにしている。
各自治体とも、クマ対策の予算をどのように工面・確保するか、あの手この手で対応・苦慮している様子が伝わってきた。

さくらんぼテレビ
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