長野県千曲市の屋代南高校の生徒と地元のおやき店が連携し、「カレー」や「韓国風」などおやきの新メニューを開発しました。「若者にうける味」で、「おやき離れ」を防ぎたいとしています。

11月19日の屋代南高校のお昼の時間。生徒たちが買い求めていたのは、信州の郷土食「おやき」です。

一見、普通のおやきですが―。

生徒:
「『韓国風』2個と『和風カレー』3つください」

ピリ辛の韓国風に、カレー味。具材はちょっと変わり種です。

生徒:
「いただきまーす」
「おいしい!」

2年生:
「味とか(具材の)切り方とか細かいところまでこだわっているなってところと、生地がすごく食べやすかった」

このおやき、実は―。

ライフデザイン科 3年・青柳優奈さん:
「10代、若年層に今、韓国の食べ物がはやっていて、そこから『韓国風』にしようと、コチュジャンと豆板醤で味付けをして、そこにみそでまろやかさを足しています」

高校のライフデザイン科の3年生5人と、地域のおやき店が連携して開発したものです。

生徒たちと共同開発したのは、高校近くにある1950年創業の老舗おやき店「色部米菓」。店には野沢菜やカボチャ、ナスなど、10種類以上のおやきが並びます。

常連客も多い店ですが、ある課題を抱えていました。

色部米菓・色部宏子さん(59):
「だんだん、おやきって低迷していると思う。(味も)定番になっちゃっているから。若い人に受け入れられないとこれからやっていけないと思うので」

昔ながらの味を守る一方、具材が定番化し、なかなか新しいメニューを生み出せずにいました。

悩んでいたところ、長野信用金庫の仲介でタッグを組むことになったのが、ライフデザイン科の生徒たちです。「課題研究」の授業で新メニューを開発することになりました。

生徒たちがまず行ったのが、全校生徒などへのアンケート調査。おやきを食べる頻度について聞いたところ、「年1回から5回」が全体の7割を占めたということです。

ライフデザイン科 3年・青木優果さん:
「若い人、今『おやき離れ』していて、全然おやき食べてないってアンケート結果が出た。伝統がなくならないでほしいという気持ちもありつつ、おやきがいろんな人に渡ってくれるとうれしいなと」

若い世代の「おやき離れ」を実感した生徒たち。店と話し合い、「若者にうける味」の開発を進めることになりました。試行錯誤を重ねること5か月あまり。完成したのが、3つの新メニューです。

焼いた長芋にコチュジャンなどを入れたピリ辛のタレをつけた韓国風のおやきに、長芋とくるみ味噌を合わせた和風のおやき。

きのこ、ジャガイモなどの具材を、「カレーうどん」風に味付けした「きのこカレー」。

色部米菓・色部宏子さん:
「長芋の方は私たちが発想するのと違って、そのまま蒸かすとか、煮るじゃなくて、(焼くことで)違う食感が出てみんなで感動しました」

11月19日は、メニューの完成を記念し、校内でも販売されました。

味はどうだったのでしょうか。

「くるみ味噌」を食べた生徒:
「『くるみ味噌』だけどデザート系みたいな感じでおいしい」

「きのこカレー」を食べた生徒:
「カレー味のおやきってそんなに食べたことなくて、めっちゃ新鮮、おいしかった。(若い人に)絶対うけます、これは」
「きょうのは今まで食べたことないような味でとてもおいしくて、また食べたいなと思いました」

狙い通りだったようです。

ライフデザイン科 3年・青木優果さん:
「若者も、高齢者の方も楽しめる味にすることができてよかったです。ぜひ、これがおやきが好きになるキッカケになってくれたらうれしい」

色部米菓・色部宏子さん:
「たまには食べてみようとか、夕飯はきょうはおやきみたいになっていったらうれしい。若い方も、高校生とかいっぱい来てもらえるとうれしいです」

3つの新メニューは、11月25日から色部米菓の店舗で販売される予定です。

長野放送
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