◆大盛況のうちに終幕した大阪・関西万博 岡山県にどんな影響を与えたか
大きなにぎわいを見せ10月13日に閉幕した大阪・関西万博。関西と隣接する岡山にも影響を与えている。
2025年4月13日から10月13日までの184日、半年にわたって大阪の「夢洲」で開かれた大阪・関西万博。全体の来場者は2557万8986人となり、予想していた2820万人には届かなかったものの、2005年の愛知万博の約2205万人を上回った。大盛況だったと言っても過言ではない。
この半年間、国の内外から多くの人が訪れたということで、気になるのが私たちの地域への影響だ。
◆「あの会場の記録を作った」岡山県ブース大成功に伊原木隆太・岡山県知事も手応え
大阪湾に浮かぶ夢洲を舞台に、半年にわたって開かれた大阪・関西万博。期間中には岡山・香川からもブースを出展し、国の内外に地域の魅力を発信した。
岡山県の伊原木隆太知事も「ものすごい盛り上がりで2日目は2万5850人とこれまでのあの会場の記録を作った」手応えを語った。
◆万博の影響…岡山県へのインバウンド客層がアジアから欧米にシフト
来場者約2557万人を記録した今回の万博。
関西以外の地域への波及効果について、日本政策投資銀行岡山事務所の長澤健一所長は「万博に来た外国人のうち2.9%が岡山市にも来たという結果が出た。一見すると少なく感じるかもしれないが、約10万人の人が万博から岡山に来ている。大きなインパクトになったのではないか」と分析する。
日本政策投資銀行の調査によると、万博の始まった2025年4月から5月にかけて岡山県内の観光地を訪れた外国人の数はエリア別に見ても軒並み増加。さらに、万博を訪問した外国人のうち、岡山市を訪れた人はアジアで1.7%、欧米やオーストラリアで4.4%となった。
これまでアジアからの来訪が多い岡山でしたが、今回の調査で欧米などが逆転したことが分かり、新たな客層の開拓に成功している。
9月、人気の観光地、岡山市の岡山後楽園にも多くの外国人観光客が訪れていた。
(オーストラリアから)
「(大阪へ行く)ツアーの一環で来た。後楽園がとても美しい」
(イスラエルから)
「私たちは日本が大好きだけどこの地域にはまだ来たことがなかった」
「芸術や島に興味がある」
「食べ物や人々、後楽園まで全てが美しい」
◆ここ最近の外国人観光客の動きは岡山にとってチャンス
長澤健一所長は「インバウンドが増えてきて東京や大阪はみんな行ったことがある。次はどこにするかを探している段階。オーバーツーリズムで手あかのついたような観光地よりは、自分たちだけで見つけて落ち着いて過ごせるような日本的な場所を探している面もあるので岡山はポテンシャルが高い」と話す。
ここ最近の外国人観光客の動きは岡山にとってチャンスだという一方で、「今回は一定の効果はあったがマスの(大きな)動きになっていない。岡山のことをもう少し知ってもらう努力が必要」課題も見えてきた。
◆欧米などの観光客誘致に必要なこと
万博から広島市の平和記念公園を訪れた外国人の数をみると全体の10%以上が訪れている。世界で初めて戦争で核兵器が使われた都市として、知名度が高いことが要因になったとみられている。
対する岡山市は全体の3%未満。人気の観光地、倉敷市の倉敷美観地区も1.6%でした。今後さらにプラスの効果を上げるため、万博で増加した欧米やオーストラリアからの観光客に地域の「ストーリー」をアピールすることがカギになると話す。
◆周遊を見込み広域連携も必要…リピーター獲得を
長澤健一所長は外国人に目を向けてもらうためのアピールについてこう提案する。
「欧米豪の人はテーマ性をもって周遊している人が多い。例えば後楽園であれば庭園つながりで(石川県)金沢市の兼六園など共通点を持つ観光地同士が連携して魅力をアピールすることでさらに来てくれる人が増えるのでは。岡山にはまだ各地に隠れた魅力がある。官民連携で地域の魅力をPRしていくことが大事」と話す。
今回の万博は、特にその新たな欧米の人に岡山のことを知ってもらういいきっかけにはなったが、さらにもっとより多くの人に訪れてもらうための工夫、情報発信がまだまだ必要のようだ。
例えば、日本刀の産地、瀬戸内市や自然が生み出したアート新見市の井倉洞など、外国人に共感してもらえる魅力は各地にたくさんある。地元・岡山に住んでいると、灯台下暗しという言葉のとおり、地元の人が当たり前だと感じている魅力を、自分たちでもっと知った上で上手に、効率的に発信していく工夫が必要になってくる。
今回の万博効果を途切れさせず、リピーター獲得への知恵を絞る時は来ている。
