北海道標茶町の牧場で11月17日、放牧されていた乳牛1頭が足に大ケガをしているのが見つかりました。クマに襲われた可能性があり、町は牧場にカメラを設置するなどして、注意を呼びかけています。
標茶町のNS牧場で17日午前7時ごろ、牧場の従業員がエサやり中に、他のウシがエサを食べる中、1頭だけ横になっているウシを発見。
従業員が様子を確認すると血だらけで右足にケガをしていました。足には長さが40センチほどに達する大きな傷があり、診断の結果、筋肉が断裂するほどの重傷を負っていました。
NS牧場の中村吉平さんは「骨は砕かれ、傷口から(骨片が)とれそうな状況。見るに耐えない傷だった」としたうえで、原因については「自然にできるケガでは絶対にない。今まで見たことがない、えぐれたようなケガだった。クマしかありえないようなケガだった」と語っています。
ウシは傷口を縫い、命に別条はありませんが、手当した獣医も、「傷口は獣にやられたみたいなつき方だ」と話していたということです。
この牧場では約420頭のウシを飼育していて、牛舎と外を自由に行き来できる構造になっていました。
防犯カメラの音声には午前4時30分ごろ、ウシが暴れる声が記録されていたということです。
中村さんは「夜はウシを牛舎の中に入れて襲われないようにする。クマは1度味を占めたらまた来る可能性も高いので、次の被害を出さないように対策する」と話しています。
被害があった牧場のそばを流れる釧路川付近では10月から11月上旬にかけてクマやクマのフンの目撃情報もあり、標茶町は、ウシがクマに襲われた可能性があるとして牧場にカメラを設置し、注意を呼びかけています。
標茶町など道東ではかつて、66頭ものウシを襲い続けたヒグマ「OSO18」による被害が相次ぎました。OSO18は2023年に駆除されましたが、再び酪農地帯に忍び寄るクマの影に酪農家の不安は高まっています。