東京で開幕した聞こえない人、聞こえにくい人のための国際スポーツの祭典、「デフリンピック」。大会の交流拠点となっている「デフリンピックスクエア」では…。
(佐藤理子アナウンサー)
「東京都渋谷区にあります「デフリンピックスクエア」からお伝えします。
ここ、デフリンピックスクエアは日本で初めて開催されている「東京デフリンピック」の交流拠点として、手話体験ができるブースですとか、デフスポーツが体験できるブースなど、45のブースがあります。
もちろん一般の方も参加することができ、ここにいますと日本語や英語などの口話の他にも、日本手話、そして国際交流の場などで使われる国際手話など、様々な言語が飛び交っていて、連日にぎわっています。
そして、私の左手にはキッチンカーがありまして、石焼きピザなども販売されていて、行列ができています。ちょうど夕飯時でぴったりかもしれません。
熱戦が続くデフリンピックですが、誰もがスポーツを楽しめるように様々な取り組みが行われています」
(佐藤理子アナウンサー)
「聞こえる人、聞こえない人も心を一つに選手にエールが送られます」
情報を伝える工夫の1つが、目で見る新しい形の応援「サインエール」です。
現役のデフアスリートから「声に出した応援はうれしいが、伝わりにくい」との指摘を受け、大会に合わせて東京都などが開発しました。
基本の動作は次のようになります。
「行け!」
「大丈夫、勝つ!」
「日本、メダルつかみ取れ!」
日本で使われる手話がベースとなりました。
(サインエールをした人は…)
「一体感が生まれる。以前は1人か2人で応援していたが、今回はみんなが一緒に応援できるので、すごく気分も上がる」
「聞こえる人のスポーツの大会に参加したことがあるが、どういう応援をしているのかよく分からなかった。今回、サインエールでの応援は、聴者・ろう者関係なく応援できるので、今までの応援とは全然違う」
(東京都国際スポーツ事業部 八重樫真由美課長)
「聞こえる人、聞こえない人が一緒に同じ応援で一体になれる、同じ風景が見られる、同じ感動を味わえる所がすごく良かった。デフリンピックで終わってしまうのではなく、デフスポーツの応援スタイルとして定着していけば」
情報を伝えるもう1つの工夫がこちら。場内のアナウンスなどを手話と文字でモニターに映し出しています。
(佐藤理子アナウンサー)
「卓球の会場である東京体育館では、デフリンピックを初めて見て楽しめる工夫があります」
卓球選手が打った球と同時に映し出されるコミカルな文字。打球の音や歓声、拍手などを文字にして表示するシステム「ミルオト」です。
センサーやマイクで音を拾い、人工知能AIを使って視覚情報に変換しています。デザイン会社の「方角」や大学などが協力して開発を進めてきました。
(観戦した人は…)
「分かりやすくて良かった」
「あの画面を見て、バウンドする音がある、いつも音がしていると知って、面白いと思った」
(方角 方山れいこ社長)
「エンターテインメントでの情報保障はこれまであまりなかった。エンターテインメントの情報保障は絶対必要だと思うので、それが「ミルオト」の最大の特徴」
このミルオトはバドミントンでも導入されています。
(佐藤理子アナウンサー)
「「ミルオト」を見ながら卓球観戦をしていたろう者の方にお話を伺いますと、今まで卓球をした時に、球がバウンドする音というのを気にしたことがなかったそうなんですが、こんな音がしていたんだと、新たな発見があったんだというふうにお話をしていました。応援の幅、そして観戦の幅が広がっているんだなというふうに感じました」