広島県中部から東部の海域で養殖のカキが大量に死んでいる問題を受け、鈴木農林水産大臣が東広島市で被害の状況を視察し、業者らと意見交換を行いました。また湯崎知事らから原因の分析や財政的な支援などを求める要望書を受け取りました。

【鈴木憲和 農水相】
「これ何年前にこういうひどい状況(あった)?」

【森尾水産・森尾龍也代表】
「ないですね、20数年で初めて」

鈴木憲和農林水産大臣は19日午前、海水温上昇などの影響で深刻な被害が出ている東広島市安芸津町にあるカキの養殖業者の作業場を視察し、身の入っていないカキを手に取って被害の状況を確認しました。

県内では呉市から東広島市にかけての県中部と福山市など県東部の海域では養殖年数の長いカキが大きな被害を受けていて、例年なら、3割から5割の死滅率が、今シーズンは7割から9割にまで上っています。

今回、鈴木大臣が視察した水産会社では、育てたカキのおよそ9割が死滅。
市場へ出す在庫もなくなり、出荷を止めざるを得ない深刻な状況だということです。

【森尾水産・森尾龍也 代表】
「過去を振り返っても例を見ない死滅状態だと思っている。研究機関に原因究明をしていただいて、生産者が安心して作れる環境を求められるような結果を知りたい」

作業場を視察したあと、鈴木大臣は、カキの養殖業者と意見交換を行ったほか、湯崎知事らから原因の分析や財政的な支援などを求める要望書を受け取りました。

【広島県・湯崎英彦知事】
「重要なことは事業者が経営を継続して、また生産を復活していく。広島といえばカキ、カキといえば広島というこのブランドをいかに守っていくか、みんなで力を尽くしていく必要があると思う」

【鈴木憲和 農水相】
「なぜこういう事態になったのかについて研究・調査をして明らかにする必要があると感じた。国・県・市がしっかりと連携をとって全体として経営を支えていけるようにしていきたい」

一方、県議会でも県に対し、議員から養殖業者の経営支援を早急に行うよう求める声が相次ぎました。

【河村晃子 議員】
「所得補償含めた支援が必要ではないかと思いますので、県としても国に要望していただきたい」

【桑木良典 議員】
「流通・小売りにも影響出てくると予想されるので、対応を早急に図っていただきたい」

県の水産課長は「養殖業者からも当面の経営継続に向けた支援を求める声が上がっている」として、必要な支援策を検討するとこたえました。

≪スタジオ≫
こちらが今シーズンの県内のカキの死滅に関する現時点での状況です。
呉市や東広島市で大量死が確認されている他東部の尾道市や福山市でも9月下旬からカキの死滅を確認。
一方で、大竹市や廿日市市などでは一部の業者が出荷しているものの、詳細はまだ分からないということです。


取材を進める若木記者によりますと、流通や小売業者にも品薄感は広がっていて、現時点で高値で推移しているということです。
県全体の被害状況はまだ分からないものの、今後、市場価格への影響も注視する必要があります。


この危機を乗り越えるために、行政にはスピーディーな対応が望まれます。

テレビ新広島
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