大分市で起きた大規模火災は、発生からまもなく24時間がたとうとしています。
元東京消防庁特別救助隊の田中章さんと見ていきます。
青井実キャスター:
まだ煙が上がっているということですが、約1日経っても鎮火されていないという状況でしょうか。
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
そうですね。炎は上がってないように見えますので、消防用語でいいますと“鎮圧状態”になっているのかなという。鎮火するまでには、また数日かかると思います。
青井実キャスター:
なぜ1日が経った今も鎮火できないのか、そして大規模火災になる前に延焼を食い止めるためにはどうすればよかったのか、この2つについて見ていきます。
まずは場所をおさらいします。
大分市で東の端に位置する佐賀関で火災が発生しました。
漁港周辺の住宅密集地ということで、18日午後5時40分ごろに火災が発生し、建物170棟以上に延焼して、焼けた範囲は約4.9haに及んでいるということです。
この辺りは空き家が多く、取材した方によると、延焼した家の約7割が空き家だということなんです。
そして発生当時、この辺りには強風注意報が出されるなど、気象条件も広い範囲に燃え広がった一因とみられています。
矢澤気象予報士に話を聞きますと、この場所は山と山の間で谷になっていて、風が吹き抜けて強まりやすいと。
ビル風のように強い風が吹き抜けた可能性があるということです。
青井実キャスター:
大規模火災になった理由、なぜここまで広がったと思いますか。
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
風が強かったということですよね。風速10メートル以上の風が吹いていて、空気が非常に乾燥していたということが気象条件で非常に悪い条件でした。
青井実キャスター:
あとは、消火の車両が入れなかったりしたんですね。
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
半島のように突き出ているところなので、海に面した沿岸部は非常に道路事情はいいと思いますが、住宅密集地、あるいは山間部のほうは道路が非常に狭くて消防車両が入れない状況があったと思います。
宮司愛海キャスター:
さらに、約1.4km先の離島にも燃え広がったということですが、こういったことも考えられる、あり得ることなんですね。
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
あり得ますね。飛び火ということですが、燃えてしまって火の粉が空高く舞い上がって、強風に乗って。通常ですと200メートルから400メートルくらいの飛び火はよく出るんですよね。風が強いと1.5kmから約2kmくらいは飛び火する可能性ありますので、離島に燃えたのも飛び火ではないかと思います。
青井実キャスター:
消火活動ですが、19日の午前6時ごろから始まって9時には自衛隊の災害派遣要請が出されて、鎮火に向けて皆さん消火活動されていますが、なぜ、これだけ時間がかかっているとみますか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
やはり、住宅が木造密集地というところで、再燃の恐れが出てくるんですよね。建物が燃え尽きたように見えても中は畳ですとか押し入れの中、火の粉が残っております。また、山林のほうでも根元深くに火の粉が残っていますので、これらを消火するためにはまだまだ、鎮火に至るまでは少しかかるということです。
青井実キャスター:
「イット!」の取材班が、18日から一睡もできずに消火活動を行っている消防団の方に話を聞いたそうですが、消火して「大丈夫だろう」と離れるとまた火が出るんだと。舞い戻って放水する場所もあったということで、こういったことが各地で起きているということがわかるわけですか?
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
空中消火が終わったとしても、最後は消防隊が人力で入って、1つ1つ赤外線のカメラを使いながら熱源を探して鎮火に至るような、きめ細かい作業をしていくんですね。これで初めて鎮火というふうになると思います。
青井実キャスター:
こういった大規模火災を食い止めるために、できることはどういうことになりますか。
元東京消防庁 特別救助隊・田中章さん:
まず、火災を発生させない取り組みが非常に重要です。先ほど話が出たように、空き家が非常に多いんですね。それと今の時期、枯れ草が多いです。空き家と枯れ草がちょっとした火災、小さな火災がそういったところを延焼経路にしながら大規模な火災になる可能性が非常に高いので、燃えにくい環境を作ることが大切だと思いますね。
強風注意報や乾燥注意報が出たらその辺りも注意。
火の取り扱いには十分に注意してください。