大分の大規模火災は依然、鎮火には至らず、住民は避難を余儀なくされています。
住民への取材から、当時の緊迫した状況が明らかになってきました。

避難した住民が撮影した火災の映像では、暗闇に燃え広がる炎とともに強い風の音が捉えられています。

火事は18日午後5時40分ごろ、大分市の東に位置する佐賀関で起きました。

「家が燃えている」などの119番通報を受け、消防車10台以上が出動し消火活動に当たります。

火災の発生から2時間以上がたった午後8時過ぎもなお、激しい炎が上がり続けていました。
複数の家から火の手が上がっているのが確認できます。

自宅が被害に遭ったという住民は「(自宅は)もう燃えています。もう火が上がっているところ。火元はまだ離れていたんですよ。でもだんだん(火が)近づいてきて消防が『避難しろ』って。(Q.火の勢いは)結構ありましたね」と話しました。

近隣住民は、火災発生直後を「もう一気に一気に火が回ったというか燃え上がって、山の方に行くまでどれくらいだったかな、もう5分もないよね」「消防車の音で何台も来るもんで、なにかなと思って2階の窓から見たら、すごい燃え上がっていた。風が強いから広がるのが相当早い」と振り返ります。

大分市には17日から強風注意報が出ていて、火災発生当時、北西からの風が強く、最大瞬間風速10.9メートルを観測。

この強風の影響を受けたのでしょうか。
火元から東に向かって、火が燃え広がったとみられています。

一夜明けた19日朝、上空から捉えた現場の映像では、焼け落ちた住宅が広範囲に及んでいることが確認できます。
発生から15時間が経過した午前9時前の現場では、いまだに白い煙も立ち込めていました。多くの住宅だけでなく車も焼け焦げています。

これまでに約4.9haが焼け、建物170棟以上が延焼。
さらに、佐賀関から1.4kmほど離れた蔦島にも火が燃え移りました。

災害派遣要請を受けた自衛隊なども参加した消火活動が続く現場を取材すると、佐賀関では壁が黒焦げになっている建物が確認できました。

そして19日、自宅周辺に一時的に戻った住民が撮影した映像には、「えーもう真っ黒じゃん…」「全然ダメ、悲しい」「まだくすぶってる煙が…。あぁあそこ家が…」という声も記録されていました。

さらに消火活動に加わったという消防団の男性に話を聞いたところ、「風がすごい結構あったから、飛び火でボンボンボンボン広がったって感じ。私の(家の)目の前まで来て、私とかギリギリセーフだった。(Q.正直怖さありますか)やっぱり(家が燃えて)バキバキバキバキ言うもんですから怖さ少しありますね」と答えました。

この男性が消火活動時に撮影した写真を見ると、強風にあおられたのでしょうか、火柱とともに無数の火の粉が舞っている様子が確認できました。

自宅に戻ることができない住民からは「ショック。相当ショック。今まであったところが燃えて…」「(自宅の)裏が山なんです、裏山に火がついたみたいなこと聞いたので、それだけで不安です」と、不安と動揺の声が聞かれました。

別の場所には、ペットとともに避難できる場所も開設されていました。

今回の火災を受け、19日正午の時点で108世帯167人が避難。
現場では午後、性別の分からない人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。

連絡が取れなくなっている稲垣清さん(76)の可能性が高いとみて身元の確認を進めています。