生後11カ月の長女に暴行を加え死亡させた罪に問われている母親に対する裁判が19日に福岡地裁で開かれ、母親は「持病の発作」が原因で子どもにケガをさせた可能性があるとの認識を示しました。
<被告人質問(19日)>
◆弁護士
「笑乃ちゃんが亡くなった責任はどう考えていますか」
◆松本被告
「全部私の責任だと思っています。自分の病気のことを分かろうとしていなかった」
19日、法廷で声を震わせながら訴えたのは傷害致死の罪に問われている糸田町の無職・松本亜里沙被告(29)です。
起訴状によりますと、松本被告は2018年7月、当時住んでいた福岡県川崎町の自宅で、生後11ヵ月の長女・笑乃ちゃんに対し、頭に強い衝撃を与える暴行を加えて死亡させた罪に問われています。
11日に開かれた初公判で、「私は故意に笑乃ちゃんに暴行をふるっていません」と起訴内容を否認した松本被告。
弁護側は、被告に「てんかん発作」が起きたことで笑乃ちゃんを抱いている時に倒れたり落下させたりした可能性があると主張し、無罪を訴えています。
一方、検察は初公判で「被告は当時『てんかん発作は起きていなかった』と警察などに説明していた」と指摘した上で、笑乃ちゃんには後頭部骨折などがあり、「家庭内の落下事故で生じるとは考え難いケガだった」として故意の暴行だったと主張しました。
双方の主張が真っ向から対立する中、19日に被告人質問が行われました。
<被告人質問(19日)>
◆弁護士
「当時の状況は?」
◆松本被告
「ミルクを作っていたらゴトって音がして、笑乃ちゃんの方を見たら倒れていた」
◆弁護士
「倒れた瞬間は見ましたか?」
◆松本被告
「見ていないです」
◆弁護士
「笑乃ちゃんを落とした記憶は?」
◆松本被告
「ないです」
事件当時の記憶をこのように説明した一方、笑乃ちゃんの頭に骨折があることを医師から聞かされた際、こんなことも考えたといいます。
◆松本被告
「もしかしたらわたしがてんかん発作を起こし、落としてしまったのかもしれない」
また、副作用などを懸念し、事件当時は症状を抑える薬を服用していなかったと主張しました。