福岡・田川市の松原保育園で、10人の保育士が園児を虐待するなど、『不適切な保育』を繰り返していた問題が、刑事事件に発展した。福岡県警は2025年11月19日、元保育士の女(25)を傷害と暴行の疑いで逮捕した。

園児虐待” 元保育士の女逮捕

事件が起きたのは、社会福祉法人 松原福祉会が運営する『松原保育園』。警察によると、園児への傷害と暴行の疑いで逮捕されたのは、田川市の無職、中村麗奈容疑者(25)。中村容疑者は、2025年7月から8月にかけて、園児に対し、髪の毛を掴んで引っ張るなどの暴行を加えた他、頭や顔を手や紙箱で何度も殴って、顔面を打撲するケガをさせた疑い。中村容疑者は、警察の調べに対し、「私がしたことに間違いありません」と容疑を認めているという。

園長が偶然見つけた“虐待”の映像

事件発覚のきっかけは、園が設置した防犯カメラの映像だった。8月20日に開催された第1回保護者説明会で、園長は「たまたま防犯カメラの映像を見た時に『〇×組』の担任が、園児を叩いているような姿が確認された。園長は、びっくりして事務の先生と防犯カメラ映像を巻き戻したところ、複数回叩いている姿が確認された。往復ビンタ、物でも叩く、引っ張る。とにかく大きな声で叱責している姿も確認できた」と初めて“虐待”に気づいた時のことを説明した。

防犯カメラが捉えていた犯行の一部始終。園長は、中村容疑者を呼び、「これは、どういうことなん?これは保育ですか?暴力だよね」と問い質したという。すると中村容疑者は、「被害園児が給食を食べている時間だったが、給食が遅いことと、口にパンパンに入れたまま、お皿を下げない』というような約束事を破ったから叩いた」と答えたという。事件の翌日、中村容疑者は、園を懲戒解雇された。

「まさか…」中村容疑者の素顔とは

幼い園児に“虐待”していた中村容疑者とは、どんな保育士だったのか?保護者に尋ねると、「頑張り屋と言えば、頑張り屋。自分でしないと気が済まない。『息抜きしないと』と言っていたら事件が起きた」。また、別の保護者は、「まさか、そういうことをする先生に見えなかったので、驚きが凄い。今回の件は度が過ぎている」など、驚きの声が多く聞かれた。

事件が起きた松原保育園では、県の調査で14人いる保育士のうち、中村容疑者を含む10人が、園児に対して身体的な虐待行為などを行っていたことが認定されている。11月16日に開かれた3回目の保護者説明会では、園の弁護士が、「確認された『不適切な行為』、これは全部、この園の中で2カ月間だけの件数ですが、132件あった。ひと月に約50件ということは、毎日1.5回という数になります。そのうち“虐待”にあたるものが98件。『不適切保育にあたるもの』が34件あった」。弁護士は更に、「全体の74.2%、約4分の3が保育士AとBの2人によるものだった」と明らかにしている。事態を把握した園は、中村容疑者に続き、20代の別の女性保育士1人についても懲戒解雇している。

遂に、逮捕者が出る事態となった松原保育園での園児“虐待”問題。警察は、防犯カメラの映像を確認するなど、他の保育士についても調べを進め、事件の全容解明を目指す方針だ。

(テレビ西日本)

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