先のことはわかりませんから、親の介護で今かかる費用は、今親に出してもらうようにしましょう。あなたの資産は、あなた自身の老後や介護にとっておきたいものです。
銀行口座は凍結されるのか
Q.認知症になったら銀行口座が凍結されちゃう?
A.本人の利益が明らかな場合は認められます
預金の引き出しには、原則として預金者の意思確認が必要です。そのため、判断能力が低下して意思確認ができない場合には、お金を引き出すことができなくなります。
とはいえ、認知症になると介護費や医療費もかかりますし、施設に入居するとなるとまとまったお金も必要です。そのお金を親の口座から引き出せないとなると大問題です。
そのような状況を受けて、2021年に全国銀行協会が「医療費や介護費用で緊急に支払いが必要な場合に限り、家族がお金を引き出すことを認める」という統一見解を発表しました。
あくまで預金者本人に必要なお金だけの引き出しですから、医療費や介護費用の請求書や領収書などの提出が求められます。
手続きをするときには預貯金者本人の通帳や印鑑、家族の本人確認書類や戸籍謄本が必要になることもあるので、口座のある銀行にあらかじめ電話などで確認しておくといいでしょう。
認知症になるとさまざまな契約もできなくなります。贈与や相続に関するお得な非課税制度も使えなくなりますし、遺言書も作成できません。「あてにしてたのに!」ということがないよう、早めに親と意思確認を。
上大岡トメ
イラストレーター、山口県在住。著書に『キッパリ!たった5分間で自分を変える方法』『老いる自分をゆるしてあげる。』『遺伝子が私の努力も才能も決めているの?』(ともに幻冬舎)など多数。本書の前作『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(主婦の友社)も。
黒田尚子(監修)
ファイナンシャルプランナー
CFP(R)認定者、1級FP技能士。一般社団法人患者家計サポート協会顧問、消費生活専門相談員資格、CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、城西国際大学、千葉商科大学・非常勤講師。がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。本書の前作『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』にも登場。
