11月のクマの目撃情報が、13日時点で973件と1000件近い数が報告されている秋田市。

12日、クマの目撃情報を聞き「サン!シャイン」が現場に向かうと、そこは市役所から1kmと離れていない住宅街でした。

クマを目撃した人:
時間は(朝)6時半ごろ、犬の散歩で神社を横切って、もう少し行けば小さい公園がある、そこを(クマが)横切った。犬をつれているからそっちの方が狙われるのかなと思って、一瞬、追いかけられるかなと思って、すぐに(家に)帰ってきた。

翌日13日にも、今度は山側にある住宅街で目撃情報が。
以前、子どもたちが遊ぶ公園で、クマのものとみられるふんが見つかったこともあり、2人の子どもがいる母親は、恐怖を隠せません。

2人の子どもがいる 近隣住民:
家の外に出る事すら常に緊張感がありますし、子どもにまず玄関を開けさせられないです。(学校に行くときは)まず玄関に待機させて、母である私が開けて玄関周り、車周りにクマがいないかをチェックしたりとか。

いつクマに遭遇してもおかしくない、そんな状況で秋田の人たちが期待を寄せるのは、『新たなクマ対策』。
13日から、警察官がライフル銃を使用して、クマを駆除することが可能となったのです。

市街地にクマが出没したケースで、猟友会などハンターがすぐに現場に到着できない場合などに駆除を行うことができます。
ベテランハンター語るクマの“恐怖”
同じくクマの人里への出没に悩む岩手県でも、警察官による「駆除チーム」が活動を始めました。

花巻市では13日、早朝に箱わなに子グマが1頭かかり、近くで子グマの母親とみられる体長約1m30cm・体重約100kgのおとなのクマが駆除されました。

駆除を行ったのは、花巻市の猟友会で50年以上活動を続けるベテランハンター・菅実(かん みのる)さん(74)。

リンゴ畑にある箱わなにかかった体長90cmほどの子グマを見て、「子グマがいるということは、近くに親グマがいる可能性が高い」と周辺を捜索。発見に至ったといいます。

花巻市猟友会 菅実さん(74):
黒いものが見えるぞとなって、親クマだとなって。猟友会の人たちが発砲したんだけど、獲物の胴腹を狙っているから致命傷にならないので。
そしたら木が重なっている所から顔を出したんですよ。俺がそこからライフルだったけど頭を撃って、致命傷になった。
やっぱりね、これぐらい頻繁に(クマが人里に)出るのは珍しいかな。秋の今の時期でも2、3回が限度だったんだけど、今はもう、ほとんど毎日のように出ている。

50年以上のベテランハンターである菅さんも、経験したことがないというクマの出没状況。駆除は、まさに“命懸け”だといいます。

花巻市猟友会 菅実さん(74):
俺たちだってクマは怖いよね。俺は狩猟をやって50年になるけど、クマは怖いですよ。
例えばずっと遠くにいて、ノコノコと歩いて来たなら余裕があるから撃てるんだけど、実際、すぐそばのやぶからポン!と飛び出してきたときは、銃なんか役に立たない。

――猟友会の方々はどんな銃を所持しているのですか?
これがライフル銃の“連発銃”なんです。今は、弾は入っていないですけれど。
鹿とかイノシシの場合は1発ずつでいいんだけど、クマの場合は本当に致命傷に当たらないと(自分が)危険だから、一応、連発銃を持って歩いている。
ライフルの弾は飛んで行くのが(先端)この部分だけなんですよ。これは殺傷能力が強いし、弾そのものが4km飛ぶんですよ、威力ももちろん強いし。

菅さんによると、約150人が所属しているという花巻市の猟友会の中で、実際にクマを撃ったことのある人は、わずか10人ほどだといいます。

花巻市猟友会 菅実さん(74):
結局ね、(クマに)会う機会も少ないし、例えば集団で集まっても、たいてい、駆除する人は決まっているんです、怖いからみんな撃ちたくないんですよ。
大体ね、(時給)1000円で命をかけているんですよ、俺たちは。撃つ人だって、本当はクマを撃ちたくて撃つわけじゃないんですよ。

人里に現れるクマに対抗する新たな手段として導入された、警察のライフルによる駆除。
しかし、菅さんでも、市街地に現れたクマの駆除は「難しい」と話します。

花巻市猟友会 菅実さん(74):
街でクマが出たよと言われたときに、クマ自体は撃てる。
獲物だから撃てるんだけど、跳弾とか、弾が獲物を貫通して向こうに飛んで行くとなったときに、それを考えると街中じゃ撃てない、俺らは…。
緊急銃猟で警察官が出てライフルを撃てることになったけど、例えば広いところで遠くからクマが来たとなれば対応できると思う、ライフル銃で。(でも)やぶからポンとクマが出たら、対応できないですよ。経験がないと、無理です。

これから冬眠に向けて脂肪を蓄えるために、多くの食料を必要とするクマ。
岩手・盛岡市の動物園、『盛岡市動物公園ZOOMO』では、飼育しているクマを野生のクマと同じように冬眠させているといいますが、今の時期は通常の3倍ほどのえさを与えているといいます。
今がもっとも危険な時期…、さらに、岩手大学でクマの生態を研究している山内貴義准教授は、人里になれてなかなか冬眠しないクマが増えている可能性を指摘しています。

岩手大学農学部 山内貴義准教授:
本当は11月になれば(クマの出没は)少なくなるはずだが、全く少なくなる気配がない。人里に依存したらクマはもしかしたら遅くまで出てくる可能性は十分あると思う。
場合によっては今年いっぱいまで警戒した方がいいと思う。
『新たな対策』の導入で、今後、“クマと人の共存”はどうなっていくのでしょうか。
(「サン!シャイン」 11月14日放送)
