長期間に渡る西広島バイパス延伸工事によって生活への影響が心配される「渋滞」ですが、その不安を解消しようと奮闘するある特別チームの動きに密着しました。

広島の大動脈・国道2号。
今年10月上旬から進められているのが、国道2号西広島バイパス延伸事業です。
工事に伴って行われる車線規制。
当初の渋滞予測は最大9キロ。
そこで立ち上がったのが渋滞対策チームです。


【広島国道事務所 調査設計課・玉國和広課長】
「道路を作るために規制するので、元々そもそも渋滞しているのがさらにひどくなることが予想されるので、悪化するのをいかに防ぐかというのが主題になっています」

渋滞を何とか最小限に抑えたい、チームの本業はもともと道路の設計です。

「道路作るところの工事をする前の段階、設計したり設計のための調査をしたりを担当するのが、うちの調査設計課になってます」

今回の巨大公共工事の規模に対し、渋滞緩和を担うのはわずか3人です。

「本当は設計終わったら工事っていうフェーズに移るんですけど、今回の西広島バイパスの場合、現道規制してしかも24時間規制して、何万台って影響が1日あたり出てくるので」

工事のための車線規制が始まって3日目。
広島市役所前の交差点を先頭に朝の通勤ラッシュ時には10キロ程度の渋滞が、上り車線で観測されました。
広島の交通の大動脈をこのままにはしておけない。この日、特別チームが行ったのは道路利用者への聞き取り調査です。

【広島国道事務所 調査設計課・北井克典さん】
「今、西広島バイパスの都市部延伸事業をやっておりまして、広報検証ということでアンケートを行っているんですけれども」
Q:規制の情報は認知されていたり?
「されていなかった」

渋滞対策チームに課された使命。
それは、利用者それぞれの目的地に対応した迂回ルートの案内です。
そこで重要になってくるのが、大型事業そのものへの理解と迂回ルートへの誘導です。

Q:例えば、テレビCMとかラジオCMとかでちょっと広報色々うたせていただいて何かご覧なったことは?
「YouTubeとかで出てくるので、それで」
「ありがとうございます。SNS広告ですね」

【広島国道事務所 調査設計課・玉國和広課長】
「(工事で)何かやっているなというのは理解いただけているかなと思います。ただ、迂回した方がいいよとか、そこまではまだ情報が行き渡ってないのかなとは思っている。しっかりみなさんに見ていただいけるような広報を増やしていけたらと思っている」

バイパス延伸事業は複数年にわたる長期戦です。
テレビでのCMや道路表示板にホームページ、さらに一度に3万人近くが訪れるエディオンピースウィング広島では渋滞緩和のために協力を促す動画を流すなど広報活動は多岐にわたります。

この日は、交通工学の専門家と対策を話し合います。
車線規制で起こっている混乱など渋滞対策チームが抱える課題について助言をもらいます。

【専門家】
「朝の通勤の車とラジオってすごい相性がいいんだと思っていてそういう数字を出していって『雨(の日)はどうも何分くらいプラスでかかるらしい』みたいなのを全部根拠ある形で出してあげると、結構効いてくる気がする」
「そこは分析を進めます」

利用者への聞き取り調査では、公共事業を進める上で一筋縄では行かない「難しさ」も突きつけられます。

「佐方でヒアリング調査をちょっとやったんですね。その中でも半々くらいでしたね、渋滞している、規制が始まってひどくなったって言われているのが。今のところはただ、あんまりそれを実はあんまり渋滞していないよとかってうちが変なメッセージ出すと、じゃあ2号通ればええやんになるので、そこはやっぱうちとしては言えないので、引き続き迂回とか促していく必要があるのかなと」

今の車線規制区間は、国道2号の舟入本町交差点から市役所前交差点の間と限定的です。
今後は規制区間が拡大しさらなる混雑が予想されるため、早い段階から迂回ルートの利用を定着させることが重要になります。

また、チームが利用者に「知らせなければいけない」のは、迂回ルートの存在だけではありません。
安全な運転ができるよう道路の環境を整備することも大切です。

【広島国道事務所 調査設計課 松場 淳さん・専門家】
「縦型のこういうふうな『この先〇M右折車線』というのが、これを目立つような形で手前側に」
「オレンジの方が確かに黄色かオレンジでしかも右折だけ、黒塗りの黄色抜きじゃだめかね」
「最初青というのが」
「青はインパクトがないな」
「一応、この右のパターンに区画線とセットで、一応これも目立つかなと夜間も含めて」
「ここベタぬって、黄色で文字抜いちゃダメかねやりすぎ?」
「テカテカしすぎて、あれかなあと…」

前代未聞の大型事業。
その実現に向け日々できることを考えます。

【呉工業高等専門学校・神田佑亮先生】
「この先はできることの積み重ねだと思う。色んな方々と連携してできるだけスピーディーに実現をしていただきたい」

専門家との話し合いから1週間。
国道2号混雑緩和の鍵を握るポイントとなるのが東雲本町交差点です。
推奨される迂回ルートへ誘導する最初の交差点です。
右折レーンを二車線に増やしました。
道路上の表示が急に変わっても事故が起きないようにするため、右折レーンを目立たせる表示と、看板を追加しました。

【広島国道事務所 調査設計課・玉國和広課長】
「工事に合わせて迂回をみなさまにお願いしている立場なので、とにかく早く対策する。スピード感をもってやることが大事だなと思っています」

車線が規制されて1カ月。
渋滞調査の速報値ではピークの時間帯の所要時間はおよそ4分の増加に留まりました。
広島市内中心部でも工事による大きな混乱はなく、迂回ルートの利用も徐々に増えているといいます。

【広島国道事務所 調査設計課・松場 淳さん】
「安全にというのと早く作ってみんなが便利な生活が過ごせたらいいなというのを思っている」

【広島国道事務所 調査設計課・玉國和広課長】
「ニーズにあったような広報とかをしてしっかりそれが結果として渋滞が少しでも悪化しないっていうようにつながればいいなと」

国道2号西広島バイパスの延伸事業は始まったばかり。
“広島の大動脈”の未来のため、渋滞対策チームは人知れず新たな道を切り開いていきます。

《スタジオ》

実際にバイパスができたら、どんな効果が生まれるのか期待されている中で、スタジオにあるのが完成イメージのジオラマです。
今回特別に広島国道事務所からお借りしてきました。

舟入出口の辺りから広島市中区平野町までの2.3キロを伸ばす計画になっています。
この舟入出口のところまでしかなかったところから、さらに延伸が進んでいくということです。このように舟入本町の交差点もずいぶん混むところを進んでいき本川のところに出口(大手町出口・仮称)が新しくできます。

このあと広島市役所の方に繋がっていきます。このような出口、入口合わせて5カ所が新しくできるということです。

横から見るとよくわかりますね。
このようにバイパスが上に通りますので、交通量は上下で分散します。

広島市役所を超えてさらに進むと、左側が出口(富士見町出口・仮称)があり、これを進んでいくと広島駅に行きます。
降りずにそのまままっすぐ進むと(平野町出口・仮称から)比治山方面、東雲方面に向かっていくということになります。

ーーこうやって実際にジオラマで見ると本当に便利ですし、街の景色が大きく変わるなって思いますけどこれ完成っていうのはいつごろになるんですか。

完成の明確な時期はまだ決まっていないんですが、早い完成が待たれます。

テレビ新広島
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