プロ野球キャンプやゴルフトーナメントなどで観光業が活況となる下半期の宮崎県。しかしいま、タクシー不足が深刻化している。慢性的な運転手不足で運転手の数は5年前の約7割に減少。さらに平均年齢66歳と高齢化も進んでいる。こうした中、タクシー業界特有の「柔軟な勤務形態」が、新たな運転手の確保につながる可能性が注目されている。

運転手不足、高齢化が課題

11月、記者が訪れたタクシー会社の駐車場に、タクシー業界が現在抱えている問題を象徴するような光景があった。

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戸高涼平記者:
こんなにタクシーはいっぱいありますが、使っていないものもあるということですよね?

宮崎県タクシー協会 吉本悟朗会長(MR交通):
分かりやすく言えば、うちは45台ありますけど、乗務員が38人。という感じですね

タクシー車両はあっても、運転する人がいない。コロナ禍以降、全国でタクシー運転手の不足が続いている。

宮崎県内はさらに深刻な状況だ。全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、県内のタクシー運転手は2020年には2174人いたが、2025年9月末時点では1593人と、5年間で7割ほどに減少している。

さらに、運転手の平均年齢も高い。全国平均は60.3歳だが、宮崎県は66.0歳と高齢化が著しい。1位の宮城県(仙台市以外)66.5歳、2位の佐賀県の66.1歳に次いで、全国でも3番目に高い66.0歳となっている。

県タクシー協会の吉本悟朗会長は、「キリがいいから70歳や75歳で辞めます、という形が非常に多い。新しい人も入ってきているが、辞める人もいるため、なかなか運転手が増えない」と現状を語る。

若年層獲得のカギ「柔軟な勤務形態」

こうした状況に対し、吉本会長が社長を務めているMR交通では、タクシー業界特有の勤務形態を「強み」として打ち出し、若年層を中心としたリクルート活動を強化している。

吉本会長は、「自分の腕一本で稼げること、そして時間についても、忙しい時間帯は長めに働き、平日など空いている時間は早めに切り上げるなど、調整が利きやすい点が魅力」と説明する。

ドライブ好きが高じてタクシー会社に転職した久保田晧一朗さん(24)は、6月から運転手として原炊き始めた。夜勤をメインに働いているという。基本給に加えて歩合給も得られるタクシー運転手の給与についてたずねると…

MR交通運転手 久保田晧一朗さん:
想定していたよりだいぶ良くて、内心びっくりして、こんなにもらって大丈夫?というくらいな感じでした。

このほか、サーフィンを目的に関東から移住してきた男性(50)も、勤務時間の融通が利く点に魅力を感じ、二種免許を取得して研修に励んでいるという。

ライドシェア導入も視野に

県タクシー協会では、業界全体として、バスやトラックといった他業種とも連携し、運転手確保に向けた取り組みを進めている。

さらに、余っている車両の活用策として、2月にはプロ野球の春季キャンプに合わせてライドシェアを実施した。これは、二種免許を持たない一般ドライバーがタクシー会社の車両を運転するという形で行われたが、事前予約が必要なことから利用は伸び悩んだという。

MR交通では、12月から配車アプリの導入を予定しており、これをライドシェアにも活用していく考えだ。

吉本会長は、「そういう仕組みがないと、なかなか今の、事前に電話で予約して、みたいなやり方だと活用できない。うまくアプリ配車を活用しながら、タクシーとライドシェアをうまく融合させてやっていきたい」と、戦略を語った。

(テレビ宮崎)

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