山陰地方を代表する冬の味覚「ズワイガニ」…地元では「松葉がに」とも呼ばれ重宝されるカニのシーズンが11月上旬から本格的に始まった。
鳥取県の漁港では7日に初競りが行われ、1匹100万円の高値がついたものもあり市場は活気づいた。
また地元の飲食店には「初物」が届けられ、さっそくお客さんに提供された。
さらにJR西日本も恒例の観光特急の運行を開始し、多くの観光客を迎え入れるなど、冬の山陰がにぎわいを見せている。

松葉がにのシーズン到来
松葉がにのシーズン到来
この記事の画像(15枚)

“豊漁”松葉がに初水揚げ 割安価格で好スタート

水揚げされたばかりの松葉がに
水揚げされたばかりの松葉がに

11月7日未明、鳥取港では隠岐諸島周辺の漁場から戻った漁船が、次々とオスのズワイガニ「松葉がに」を水揚げした。
初日の水揚げ量としては例年よりやや多く、まずまずのスタートとなった。
今シーズンのズワイガニ漁は、オスの「松葉がに」が2026年3月20日まで、メスの「親がに」が12月31日まで続く。

「五輝星」を競り落とし笑顔の寺門ジモンさんら
「五輝星」を競り落とし笑顔の寺門ジモンさんら

午前8時から始まった初競りでは、威勢のいい掛け声が市場に響いた。
中でも注目を集めたのは、大きさや身入りの良さなど5つの厳しい基準をクリアした最高級ブランド「五輝星(いつきぼし)」。
初日に鳥取港で「五輝星」に認められたのはわずか1匹だったが、その貴重な1匹を100万円の値で、お笑いタレントの寺門ジモンさんとチームを組んだ地元の仲買人が競り落とした。
寺門さんは、動画配信の企画でセリに参加、この「五輝星」を東京のかに料理専門店で味わうということだ。

直売所で松葉がにを求める観光客ら
直売所で松葉がにを求める観光客ら

鳥取港近くの直売所「浜下商店」では、水揚げされたばかりの松葉がにが店頭に並び、初物を求める観光客らでにぎわった。
店によると、小型や中型のカニの水揚げが多く、価格は過去5年間で最も安い水準だという。
例年より2〜3割安く、浜下商店の浜下哲爾社長は「解禁直後の今が買い時。鳥取かには味噌が濃厚で甘く、身もおいしい。様々な調理方法で楽しんでほしい」と話した。

待望の松葉がに“初物”が飲食店に「鮮度抜群!」

「海鮮問屋 博多」に到着した松葉がに(島根・松江市)
「海鮮問屋 博多」に到着した松葉がに(島根・松江市)

その日の午前11時半頃、鳥取県有数の漁港・境港で初水揚げされたばかりの松葉がにが、島根・松江市内の飲食店「海鮮問屋 博多」に届いた。
この店では、約450匹を仕入れたという。

鮮度もよく、仕入れ値も例年より安い松葉がに
鮮度もよく、仕入れ値も例年より安い松葉がに

「海鮮問屋 博多」の永瀬豊会長は「抜群に鮮度はいいですね。気合の入ったものを買っています」とシーズンスタートの高揚感とともに語った。
また松葉がにの仕入れ値については「例年よりは今年は安かったので、みなさんが来られたら十分サービスでできる」と説明。
例年は1キロあたり1万5000円から2万5000円ほどの仕入れ値だが、今回は初日でも1万3000円からで割安だったと話す。

松葉がにのフルコース
松葉がにのフルコース

「海鮮問屋 博多」では、早速その日から松葉がにのフルコースを提供。
焼きがに、ボイルガニ、かにの刺身、かに鍋など全7品のフルコースは1人前15800円から(税込、予約は2人前から)で、2026年4月まで楽しめる。

カニを調理する永瀬会長
カニを調理する永瀬会長

県外からの団体予約も入っているといい、「気合が入ります。うまさでは最高じゃないですか」と永瀬会長は力を込める。

身がぷりぷりなカニの刺身
身がぷりぷりなカニの刺身

長瀬会長は「今年は鮮度が良い。『山陰といえば松葉がに』ということを皆さんに期待してもらっていて、おいしく提供します」とシーズンのにぎわいに期待を寄せていた。

「かにカニ日帰りエクスプレス」運行開始

スーパーはくとで「かにカニ日帰りエクスプレス」の運行開始
スーパーはくとで「かにカニ日帰りエクスプレス」の運行開始

松葉がに漁の解禁に合わせて、JRの「かにカニ日帰りエクスプレス」の運行がスタートした。京都発の特急スーパーはくと1号が11月7日午前、倉吉駅に到着。
第1便となるこの列車を、県中部の三朝などの温泉旅館関係者が改札口前で出迎えた。

倉吉駅で利用客をお出迎え(鳥取・倉吉市)
倉吉駅で利用客をお出迎え(鳥取・倉吉市)

この日帰りプランは、関西・山陽方面から日帰りでカニ料理と温泉を楽しめる人気のコースで、2026年3月まで利用可能だ。

「かにカニ日帰りエクスプレス」のパンフレット
「かにカニ日帰りエクスプレス」のパンフレット

到着した利用客は「待ってました。おなか一杯食べたいです」と期待を膨らませていた。
また兵庫県からの客は「温泉に入りたいのとカニを食べに来ました」と話し、山陰の冬の魅力を存分に楽しむようだ。

JR倉吉駅の船越賢一郎駅長は「いよいよ待ちに待ったカニのシーズンがやって参りました。ぜひスーパーはくとに乗って、この鳥取県においしいカニを食べにきていただきたい」と期待を込めた。

地域全体に広がるカニシーズンへの期待

カニシーズンに期待
カニシーズンに期待

今シーズンは例年よりも豊漁と価格面でも期待できそうなカニシーズン。
温泉街もJRも飲食店も、これから始まる冬のにぎわいに期待を寄せている。

冬の味覚「かに鍋」
冬の味覚「かに鍋」

カニ好きにとって、まさに待ちに待った季節の到来…山陰の冬の味覚を味わう機会による山陰経済への大きな波及効果が期待されている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。